成年後見人トラブル急増中 認知症の人の財産が横取りされるリスクに気をつけて!!

成年後見人によるトラブルが急増しています 認知症の人の財産が横取りされるリスクに気をつけて!!

はじめに

寿命が長くなったことに伴って認知症を発症する高齢者が増加しています。
認知症の発症者は高齢者全体で見ればまだ15%程度ですが、高齢になればなるほど認知症にかかる可能性は高くなってきます。 

厚生労働省の資料によると60歳代後半で認知症を患っている人は1.5%に過ぎませんが、85歳以上になると27%にも達するそうです。

つまり85歳以上の4人に1人は発症している計算ですので、長生きをすればするほど認知症になる可能性は高くなります。

認知症が進行すると自分の状況を理解したり物事を判断したりする能力が衰えてきます。 

意思能力がない状態では日常生活を自力で送ることは難しくなります。例えば自分の財産の管理が出来なくなってしまいますし、買い物をするのも困難になります。

このように日常生活や社会生活を自力で営みにくくなるだけではなく、暴言や暴力を振るったり、徘徊して行方不明になったり、妄想で大騒ぎしたりして周辺の人たちに大きな迷惑をかけることがあります。

また認知症高齢者は詐欺や悪質な訪問販売の消費者トラブルに巻き込まれやすくなりますが、それにも関わらず自分ではその意識がなく、 周りにいた家族やホームヘルパーなどからの相談で明らかになったというケースも多く見られます。 

他にも認知症には色々な問題があり、認知症を患うと様々な場面で自分のことが自分で判断できなくなる不幸な事態が起きてきます。

自分がもしそうなったらどうしようかと心配されている方も多いことでしょう。

このような不安に対処するには、まずは何と言っても「成年後見制度」というものが考えられます。

今ではかなり知名度が高くなり、多くの人に知られるようになった、この「成年後見制度」ですが、はたしてこの制度にすべて頼り切ってしまってよろしいものなのでしょうか? 

今回はこの「成年後見制度」と「成年後見人」の問題について別の角度から踏み込んで考えてみたいと思っています。

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目次

認知症になったら成年後見制度 はたしてそれは正解なのか?

私は以前このブログで「超高齢社会における認知症リスク 認知症による銀行口座凍結を防ぐには?」と題する記事を書いたことがあります。

「成年後見制度」とは認知症など精神上の障害により判断能力が不十分で意思決定が困難な人について、家庭裁判所によって選任された第三者が後見人となりその判断能力を補って財産などの権利を守る法制度のことです。 

この制度を利用して親族が後見人になれば、口座が凍結されていたとしても介護費用など必要な経費を 本人の口座から引き出すことができるようになります。

このような内容の文章を書いたのですが、時が経つにつれて新しい情報が入ってくるようになり、「成年後見制度」の内情についてもだんだんと新しい事実が分かってくるようになりました。

成年後見制度の現況

成年後見制度認知症知的障害などで判断能力が不十分な成人に代わり、選ばれた後見人財産管理や生活支援(身上監護)を行う制度です。

認知症知的障害で十分な判断能力を有しない人に代わり、親族や法律専門職らの後見人財産管理などを行って、悪質商法や詐欺商法の被害などから高齢者や社会的弱者らを守る、極めて意義のある制度です。

認知症の高齢者が増加する中で、その権利や財産を守るための成年後見制度の重要性は年を追うごとに増してきています。

成年後見制度の申し立ては昨年2017年には過去最多の3万5737件となりました。 ここのところ毎年、年間3万件から4万件の成年後見が新たに開始されています。 毎年わずかずつではありますが、この制度が社会に認知されつつあるということを証明していると言えるでしょう。

しかし、申立件数が増加しているとはいえ、制度の利用者は約21万人に留まっています。

認知症高齢者の数と比べると、この21万人という数字は極めて少ない数字です。

「成年後見制度」は大きく分けて「法定後見」「任意後見」の二つに分類されるのですが、法定後見の方は 現時点で既に認知症を発症しているなど、判断能力が不十分な状態になってしまっている場合に、本人をどのように支援するかを決める制度です。

支援を行う後見人は家庭裁判所が決定し、支援する内容は本人の意思とは関係なく法律で決められています。  

本人の判断能力がどの程度あるか審議され、程度に応じて「後見人」・「保佐」・「補助人」と呼ばれる3種類の成年後見人が選任されるものです。
認知症が進んでいる場合には財産に関するすべての法律行為が代行できる「
後見人」になります。

ここで裁判所から選任される後見人が弁護士や司法書士などの法律専門職後見人なのです。

 

なぜみんな成年後見人を選ぶように勧めてくるのか?

2000年に成年後見制度が新たに開始された直後には、後見申立のうち9割が家族による親族後見人でしたが、ここ数年は弁護士や司法書士などの法律専門職が成年後見人になる割合が高まっており、新規の後見人の7割が専門職後見人によるものです。

ここ数年のことですが成年後見制度によって家庭裁判所が任命した後見人による
横領・着服事件
が相次ぎ、社会的な問題になりました。

少し前まではそうして不正を働く後見人の9割が親族だったため、身内ならではの甘えや犯罪意識の希薄さが指摘され、これ以後弁護士や司法書士などの法律専門家が多く選任されるようになったのです。

すると今度は弁護士などの法律専門家による横領事件が続発したのです。 

これは、人は肩書きだけでは信用できないということであり、他人の財産を動かせる立場にいるということはそれだけ誘惑が多いということではないでしょうか。 

いずれにしても認知症で何もわからない人の財産を預かりながら、不正流用し着服するとは、どんな理由があろうとも法律家の風上にも置けない決して許すことのできない人間たちであることは間違いありません。

『成年後見人を付けるしかないのです』?

話を戻しましょう。

家族 (親) が認知症を発症し銀行からお金を引き出せなくなったり、悪徳商法の標的になったりした場合、銀行や警察からは地域包括支援センター社会福祉協議会に相談に行くことを勧められることが多いようです。

そしてこれらの施設に相談に行くと、ほぼ間違いなく『成年後見人を付けるしか
方法はありません』
と言われます。

弁護士会や司法書士会でも、あるいは法テラスと言う身近な法律相談の場所でも
必ず成年後見人を選任してもらうように家庭裁判所に申し立てるしかありません』と言われます。

ここで私達が『やはり親が認知症になったら成年後見人に頼るしかないのか、そうするしか方法はないのか』と考えて、うっかりその場で紹介された悪い弁護士などに申し立ての代理を頼んでしまうと、やけに馬鹿高い数十万円もの「申立書類作成手数料」を要求されることがあるので気をつけて下さい。 このような書類を作るときはこのくらいの手数料をいただいてくださいという日本弁護士連合会が決めた目安があります。この場合は10万円程度でできるはずです。

それをはるかに超えるような高額の手数料を請求してくるような弁護士には絶対に申し立ての代理を頼んではいけません。 

なぜなら家庭裁判所に対して行う成年後見人の申し立てというのは、本来、申立書に収入印紙さえ貼れば、誰でも無料でできるものだからです。 申立書は用意された項目にチェックマークを入れるだけの誰でも簡単に書ける内容のものです。

その他、申し立てするには認知症であることを確認するための医師の診断書も必要ですが、費用的には1万円ほどで済むものです。

そして実際に申し立てを行うと、その家族の状況にもよりますが親族が法定後見人に指定されることは少なく、先ほど述べたように現在では、法律専門職が後見人に指定される割合は7割を超えるぐらいになっています。

ここで私達が、これはちょっとおかしいのではないかと思えることがあります。

なぜ成年後見人に指定される法律専門職が激増しているのでしょうか?

法律専門職後見人の激増は、弁護士や司法書士のために割のいい仕事を作り出したいという日本の法曹界の強い意向が働いているとしか考えざるを得ないのです。 

いまや家族・親族が成年後見を申し立てても、家族ではなく、庭裁判所の方が一方的に選任してきた見知らぬ弁護士や司法書士などの法律専門職が後見人となるケースがほとんどです。

わざと家族や親族が成年後見人になることを選ばず、法律家に仕事を委ねようとしているのではないかとさえ感じられます。

やはり最近の法律専門職後見人の激増には裏の事情があったということでしょう。

裁判所に提出される後見人候補者の名簿は、弁護士会や司法書士会などの業界団体が作成します。

こうした団体は地元の家庭裁判所と意を通じており、成年後見の申し出があれば、名簿の中から順番に選ばれて後見人になるわけです。

そこで例え成年後見を申し立てた人が、『見ず知らずの弁護士なんかに後見人になってほしくはない』と考えて、申立の取り下げを試みたとしても、一旦申し立てを行ったら、家庭裁判所の許可がない限り取り下げをすることはできない決まりになっているのです。

これもおかしな話です。単なる申し立てなのですから取り下げる自由があっても別に構わないはずです。取り下げるだけなのになぜ許可が必要なのでしょうか?
許可がない限りということは絶対に取り下げは認めないということなのです。
不思議な話です。 法律家たちが権力を振りかざすとこのようなことになります。

いかに裁判所と法律専門職らが通じていて、自分たち法曹界の利益になることしか考えていないことがこれで明らかだと思います。

成年後見人の仕事は法律専門職にとってどれだけおいしい仕事なのでしょうか?

後見人の報酬は家庭裁判が決定しますが、その額は被後見人の預貯金に比例します。 通常は月額報酬は2万円から3万円ですから年間では24万円から36万円程度になります。 しかし後見期間が10年も続くとこれが240万円から360万円とかなりの金額になります。これだけの金額が親の貴重な財産の中から削られていくわけです。 

比較的預貯金の多い被後見人の場合だと当然後見人の月額報酬も多くなります。 例えば5000万円の預貯金のある被後見人の場合だと、法律専門職後見人の月額報酬は6万円にものぼります。

それだけ多くの報酬をもらってもきちんとそれにふさわしい仕事をしていれば別に問題はないのですが、法律専門職後見人の中にはほとんど仕事らしい仕事をせずに毎月決まった月額報酬だけ取っていく質の悪い者もいっぱいいるわけです。 

例えば、家族はおろか被後見人にもほとんど面会しようとしない専門職後見人が数多くいると言われています。
その理由は被後見人に会いに行こうが行くまいが報酬額に変わりはないからです。  だったら面倒な仕事をせずに報酬だけ頂いていた方が楽でいいからです。

法定後見人=専門職後見人の権限には絶対のものがあります。 

専門職後見人がついてしまうと子どもでさえ親=被後見人の財産内容を簡単には教えてもらえなくなります。 親の財産は全て専門職後見人の手に委ねられることになり、一か月に必要な費用だけが与えられる形になるのです。 それ以外の費用はいちいち「◯◯のためにお金が必要です」とお伺いを立てて、支払いを認めてもらわなければならなくなります。

それどころか専門職後見人は被後見人を介護施設へ入居させるとか、家庭裁判所からの許可を得たとして家を売ることまで家族の同意なく行うことができるのです。家族からしてみればたまったものではありません。 親の財産である自宅が家族である自分たちに何も知らされずに勝手に処分されてしまうのです。

質の悪い専門職後見人に当たるとこんなこんな悲劇が待っています。

しかし、いくら被後見人や家族への態度が不誠実だといった理由で専門職後見人を解任しようとしても、それはほぼ認められることはありません。

こんな理不尽なおかしな事ってあるでしょうか。

不審な行動する専門職後見人というのは大抵は後見人の財産を不正流用し横領をするという犯罪を犯しています。

悪質な専門職後見人は横領しているのが家族にばれてしまうと解任される恐れがあるので、被後見人の財産内容を隠そうとして家族からの財産内容開示要求に対してあえて拒否するような態度をとっている可能性があるのです。

実際に2000年から2016年までのあいだに約40万件あった成年後見のうち約1%で
後見人が解任され、約8%が辞任しています。 

解任理由の多くは横領です。 

しかし横領を行った専門職後見人のうち解任されるのはごく少数で家庭裁判所からの辞任勧告を受けて本人が横領した金を返して後見人を辞任すればお咎めなしというのが実情のようです。

むしろ横領という犯罪を犯しておきながら逮捕されたというほうが珍しく、返金すれば許してもらえるとは、日本の法曹界というのはなんと身内に甘い人たちなのでしょうか。

しかしもちろんのことですが、法定後見人に選ばれた法律専門職の中には自分の立場をわきまえ忠実に職務を遂行なさろうとする立派な法律家の方も多くいらっしゃいますので決して誤解なさらないようにして下さい。

 

結論として


認知症になった家族 (親) の財産を減らさないためには、絶対に法律専門職に後見人になってもらってはいけません。

その理由としてまず月額報酬が高すぎます。 考えてもみてください。

収入や予算の少ない高齢者にとっては負担が大きすぎます。 後見人の報酬は家族が支払うのではないのです。 被後見人である親が自分の財産から支払っていくものなのです。 ですから後見人になったからといってほとんど何も仕事らしい仕事をしないのに報酬だけを支払うなんて非常に馬鹿げたことだと思うのです。

※もっともこれは職業柄不必要なお金を使わないということ、節約することをモットーとしているファイナンシャルプランナーである筆者の考え方によるものなので、極めて個人的な意見です。


そして財産を横領される恐れがあります。
 法律専門職が親の法定後見人になるということは家族にとって非常にリスクの高いことなのです。 

『そんなこと言ったって、家庭裁判所に成年後見の申立をすれば今は必ず専門職
後見人が選任されるようになっているではないですか』とおっしゃるかもしれません。 確かに既に述べたように、一度申し立てをしてしまえば取り下げることはできません。

ですから成年後見制度を申し立てる際にはより慎重になることが求められます。

親が認知症になり銀行口座が凍結された。→ 仕方がないので成年後見人制度を申し立てることにする。→ 従来ですとこれしか方法はありませんでした。

でもそう単純に物事を考えることはありません。

もう一度慎重に対策を考えてみましょう。

家庭裁判所に成年後見人を申し立てる前にもう一度することがあります。

銀行口座が凍結されていたとしても必要なお金の引き出しについては銀行に直談判
することにより、当面の資金を得ることができる可能性があります。
最初から諦めずに何度も銀行に足を運んで直談判してみましょう。

それともう一つ。 ちょっとお前には考えられなかったのですが最近では認知症の良い薬ができており認知症の症状が改善する場合もあります。

認知症は決して治らない病気ではなくなっていますので、そのことも考慮して下さい。

必ずしも成年後見人制度に申し込むだけが全ての解決方法ではないことを覚えておいていただきたいと思います。 

最後に

成年後見人制度は一度使えば後見を受ける人が亡くなるまで止めることのできない制度です。

ですからあらゆる手段を講じた結果それでも利用する必要があると最終的に判断したときに限って、利用を検討すべきものだということをどうか忘れずにいてください。

成年後見人トラブル急増 認知症の人の財産が横取りされるリスクに気をつけて!! 終

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