パワハラ防止法が成立したのに相変わらずパワハラする人に教えたい裁判事例と法的責任

「ハラスメント最前線」前

「パワハラ防止法」が成立したのに 相変わらず “パワハラ”する人に教えたい
裁判事例と法的責任

 

はじめに

 

今回のブログは「ハラスメント最前線」と題して、現在の日本のハラスメントの
現状に関して、著述させていただきました。

前編・後編の二部構成になっています。 

 

 前編はパワハラ関連です。

「パワハラ防止法」が成立したのにもかかわらず、そのことを知ってか知らずか、懲りずにパワハラを行っている管理職 (パワハラが止められない上司など) が
相変わらず多いようです。

そんなパワハラ上司の方々に是非とも教えてあげたい『ハラスメント裁判事例
と法的責任』
について書かせていただきました。 

後編はカスタマーハラスメント関連です。
「悪質クレーム (カスタマーハラスメント)」の定義と、その対応に関する指針
(ガイドライン) について次回のブログ記事でお伝えします。 

 ↓

「ハラスメント最前線」後編 は こちら↓

悪質クレーム (カスタマーハラスメント) の定義とその対応策ガイドラインを
先行して考えてみました

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あなた、まだパワハラなんかしているんですか?

もしもあなたが 勤務している職場で上司や同僚らからパワハラと思われる発言や

要求、あるいは精神的・肉体的に酷い仕打ちを受けた場合は、相手に、このよう

に問いかけてみてください。

 ↓

あなたは『 “パワハラ防止法” という法律が成立しているのをご存知ですか?』

 

今現在の日本社会で平気でパワハラなんかをしてくるような人間は、大きく二種類に分けられます。

ひとつは、世の中の社会の動きを全然捉えられていない、情報にアンテナを張ることのできない無知な奴らで、今年 (2019年) の5月に「パワハラ防止法」が
成立していること
を全く知らない人たちです。

当然、自分がパワハラをしていることなんかには全然気が付いていません。
スポーツの指導者たちには相変わらずこのタイプが多いようですが、普通の職場にも大勢います。 要は “パワハラ” とか “ハラスメント” とか、そういうことには全く無関心・無頓着な鈍感な人たちのことです。

上司であろうが同僚であろうが、このような無知な人たちには「パワハラ防止法」が成立していることを教えて差し上げなければ何も始まりません。

ちなみに「パワハラ防止法」というのは俗称で、正式には「労働施策総合推進法」という法律の改正法です。 企業にパワハラ防止の措置を義務づけ、今まで法律上明記されていなかった「パワハラの定義」と要件についてもはっきりと明記されています。

相変わらずパワハラを行っているもう一種類の人間は、逆に今回成立した「パワハラ防止法」に “罰則規定” がないことを知っている頭のいい人というか、ちょっとズル賢い人たちです。
このような人たちは、「パワハラ防止法」にパワハラ行為への “処罰規定” がないのをいいことに、明らかに「パワハラの定義」に該当する行為を行っていながら、それを指摘されると、『いや、それは業務上必要な範囲内でのことだから』と言い訳して逃げたりします。

パワハラを受けた側が『それ、パワハラじゃないんですか?』と、いくら言ったとしても、正しい業務との線引きが未だに曖昧であることを理由にパワハラ行為を否定したりします。

しかしそんなことで弱気になることはありません。

 

なぜなら、たとえ相手がパワハラ行為を認めなかったとしても、証拠さえあれば
ほとんどのパワハラ行為に対しては「民事上の損害賠償請求訴訟」を起こし、勝利を勝ち取ることができるからです。

現代の世の中でパワハラを行うことがいかに無意味で愚かなことか。

そんなことをしたら法的に責任を取らされ、大きな非難を受ける可能性があることを分からせてあげるためにも、訴えを起こして、損害賠償を請求してみるのもよろしいでしょう。

今回のブログでは、過去のハラスメント裁判事例と、パワハラをした者及びその者を雇用している企業の法的責任について書かせていただきましたので、お読みになってみてください。 

 

 

ハラスメント対策は世界の潮流 「ILOハラスメント条約」成立

 

日本でようやく「パワハラ防止法」が成立し、法制化されたのとほぼ時を同じくして、世界でもハラスメント対策に乗り出していました。

2019年6月21日、スイスのジュネーブに本部がある国連の「国際労働機関 (ILO) 」の専門委員会は、職場での暴力やハラスメントを禁止する初めての国際条約案を本会議において全会一致で採択しました。 
この「ILO ハラスメント条約」は、労働者のハラスメントに関する世界初の国際
基準となりました。

 

条約は、職場での暴力とハラスメントを、

「身体的、精神的、性的または経済的被害を引き起こす、または

引き起こしかねない、許容しがたい様々な行為や慣行」

などと定義し、政策で対処するように義務付けました。

加盟国ではこれらの行為は全面的に法律で禁止されます。

また、被害者の救済支援を受ける機会の確保も求めています。 

 

しかし、日本政府はこの条約の採択については賛成票を投じましたが、条約の
“批准” については経済界 (経団連) に配慮し、後ろ向きの姿勢をとっています。

国際条約が国内で効力を持つためには “批准” と呼ばれる国内承認手続きが必要
なのですが、経団連は「部下への適切な指導と区別がつきにくい」といった理由で抵抗し、政府も今後  “批准” するか否か明確にしていません。

国際的に “批准” の要請が高まっていますが、日本政府は慎重に議論を進めていくという姿勢を示しているだけです。

 

 ILO によると職場のハラスメントを刑事罰や損害賠償の対象として直接禁止する国は、採決に参加した国のうち60ヶ国に上りますが、最近ようやく「パワハラ法制化」にこぎつけたばかりの日本では、企業に「パワハラの相談窓口の設置」などを義務付けたものの、肝心の条約が求める「ハラスメントの直接禁止規定や罰則規定」を設けることはありませんでした。
この罰則規定の制定に最後まで頑強に反対したのが、他ならぬ経団連でした。

条約の “批准” には条約に沿った国内法の規定が必要なため、ハラスメント行為の禁止規定がない日本にとっては “批准” したくてもできないという問題があったのです。

先進7カ国 (G 7) でこうした規制がないのは日本だけという、なんともお恥ずかしい限りの状況なのです。 世界からハラスメントを根絶するという目標に向けての、日本政府の決意と本気度が問われています。

 

 

職場のパワーハラスメントの「定義」考えられる事例

 

今回成立した「パワハラ防止法」の中に、「パワハラの定義」がはっきりと明記されました。次の3点です。

この3つの構成要件のすべてに当てはまったときにパワーハラスメントがあったと認定されるのです。

 

1 優越的な関係に基づいて (優位性を背景に) 行われること

2 業務の適正な範囲を超えて行われること

3 身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること

 

それではこれら「パワハラの定義」の構成要件に該当する具体的な行為として考えられるものの例を挙げてみることにしましょう。

 

1. 「優越的な関係に基づいて行われること」とは何か?

考えられる例としては 

  • 職務上の地位が上位の者 (上司) による行為であること
  • 同僚または部下からの集団による行為で、抵抗または拒絶することが困難
    であること
  • 同僚または部下による行為で、その行為を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力を得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であること

などが考えられます。

 

※「職場内での優位性」について 

パワーハラスメントという言葉は上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が多いのですが、必ずしもそれに限られるわけではなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。
また、正規社員と非正規社員との間で、あるいは集団グループ対個人との間でも考えられることです。

したがって「職場内での優位性」には職務上の地位に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれるということなのです。

 

2. の「業務の適正な範囲を超えて行われること」とは何か?

考えられる例としては

  • 業務上明らかに必要のない行為であること
  • 業務の目的を大きく逸脱した行為であること
  • 業務を遂行するための手段として不適当な行為であること
  • その業務の回数や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超えている
    行為
    であること 

などがあります。

 

※「業務の適正な範囲」についてのご注意

業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合であっても、業務上の適正な範囲内で行われている場合においては、パワーハラスメントには当たりません。

例えば、上司には一般的に自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められます。

ですから職場のパワーハラスメント対策というのはそのような上司の適正な指導を妨げるものではなく、各職場で何が業務の適正な範囲で、何がそうではないのか、その範囲を明確にする取り組みを行うことによって、適正な指導をサポートするものでなければならないと思われます。

3. の「身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または
     就業環境を害すること」とは何か?

考えられる例としては

  • 暴力により傷害を負わせる行為であること
  • 何度も大声で怒鳴ったり、厳しい叱責を執拗に繰り返すなどによって恐怖を
    感じさせる行為であること
  • 著しい暴言を吐くことなどにより人格を否定する行為であること
  • 長期にわたる無視などにより、就業意欲を低下させる行為であること 

などがあります。

 

ところで、最近かんぽ生命不正販売問題でも明らかになったような、厳しい営業ノルマにより営業社員に本来与えてはならないような苦痛を与えている場合はどうなのでしょうか? 

この場合、厳しい営業ノルマが「パワーハラスメントの定義」の構成要件に該当するためには、そのノルマが「社会通念上到底許されない悪質なレベルに達していること」が必要となります。

ですから営業ノルマが多少苦しいと感じたとしても、それは普通の営業会社では当たり前のことですから、とりわけパワーハラスメントであると騒ぎ立てるようなものではないと思われます。

パワーハラスメントに関する裁判の事例を見てみましょう

 

実際に具体的なパワーハラスメント事案が発生した場合に、それが間違いなくパワーハラスメントであったかどうかを判断するには、その行為が行われた状況や、そのパワーハラスメントと疑われる行為が継続的であったかどうかなど、詳細な事実関係を把握し、各職場での共通認識や、過去に実際に起こされたパワーハラスメント訴訟とその裁判の事例を参考にしながら判断するのが良いと思われます。 

パワーハラスメント行為を行うと、
会社側 (使用者側) にはどんな法的責任があるのか?

 

いじめや嫌がらせなどのパワハラ問題が発生すると、企業にとってはハラスメントによって組織の生産性に悪影響が及び、貴重な人材が休職や退職に至るなど大きな損失になります。

さらに、パワハラの被害者により民事上の損害賠償請求訴訟」を起こされることがあります。
訴訟の相手方は実際にパワハラ行為を行った本人 (上司・同僚など) と、または
使用者としての会社ですが、その両方の場合もあります。


仮に会社がパワハラ行為そのものに加担していなくとも、裁判によってその使用者責任を問われる可能性があり、企業の信頼度の急激な低下によりイメージダウンにつながりかねません。

これが法的責任だ !

パワハラ裁判の判決で示された法的責任の例として、主に次の3つの責任が問われることになります。

 

①安全配慮義務違反による債務不履行責任 根拠条文民法415条

使用者が労働者 (被用者) に対して負っている「安全配慮義務」「職場環境配慮
義務違反」
に違反すると認められる場合に問われる責任です。

主にパワハラ加害者を雇用している会社側 (使用者側) が問われる責任です。

パワハラの被害者は会社側の債務不履行責任に対し、この民法415条を基に損害賠償請求をすることができます。 

 

*民法415条 「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行することができなくなったときも同様とする」  

 

②権利の濫用などによる不法行為責任 根拠条文民法709条

業務命令権や人事権などの適正な範囲の逸脱により権利の濫用であると認められる場合に問われる責任です。 

主にパワハラの加害者に対して問われる責任です。 

 ※権利の「濫用」は法律用語です。一般的には権利の「乱用」で通用します。

 ※パワハラ加害者は民法上の不法行為責任を問われるだけではなく、社内における懲戒処分の対象にもなり得ます。

 

*民法709条 「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」 

 

③使用者責任としての不法行為責任 根拠条文民法715条

企業が遂行する事業に関して、使用する労働者 (被用者) が第三者に損害を与えた
場合に、企業側 (使用者) が問われる責任
です。 

主にパワハラ加害者の雇い主 (使用者) としての責任になります。 

 

*民法715条   「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生じるべきであったときは、この限りではない」

 

パワハラ裁判事例 その1

(上司の注意指導とパワーハラスメント)

製造業A社の工場に勤務していた従業員のBさんは、過剰な注意指導を行った上司Cの常軌を逸した言動により人格権を侵害されたとして、民事上の損害賠償請求訴訟を起こしました。

 [東京地裁八王子支部判決 平成2年2月1日] 

 

この裁判では、上司Cの指導監督権の行使としては裁量の範囲を逸脱し、違法性を
帯びるに至ったとして、A社と上司Cに対し「権利の濫用による不法行為責任」
(民法709条) を適用し、連帯して損害賠償 (慰謝料支払い) するようにとの判決を下しました。 

 

パワハラ裁判事例 その2

( 先輩によるいじめと会社の法的な責任)

埼玉県にあるD病院に勤務していた看護師のEさんは、先輩看護師であるFから、
飲み会への参加強制や個人的雑務の使い走りをさせられ、挙句の果ては「死ねよ」「殺すぞ」などといった暴言を吐かれるなどの いじめを受け、自殺してしまいました。

残されたEさんの遺族は、D病院と先輩看護師Fに対し民事上の損害賠償請求訴訟を起こしました。 

 [さいたま地裁判決 平成16年9月24日] 

 

この裁判では、先輩看護師FのEさんに対するいじめを認定し、 先輩看護師Fが
Eさんの遺族に対して損害を賠償する不法行為責任 (民法709条) があることと、
勤務先であるD病院に対しても「安全配慮義務違反」による債務不履行責任
(民法415条)があることを認め、先輩看護師Fが Eさんの遺族に対して損害賠償額
として1,000万円を支払うように命じ、D病院に対しても、先輩看護師Fと連帯して損害を賠償するように命じる判決を出しました。
先輩によるいじめと、会社 (所属勤務先) の法的な責任が問われた裁判でした。
両者は連帯して損害賠償する義務を負うことになりました。

パワハラの定義 (構成要件) のうち特に「身体的もしくは精神的な苦痛を与えること」に該当する要素の強い裁判事例でした。

 

パワハラ裁判事例 その3

( 内部告発を契機とした職場いじめと会社の法的責任)

勤務先のG社の闇カルテル問題を新聞や公正取引委員会に訴えた社員のH氏に対し、不当な転勤や昇格停止、長時間にわたり個室に隔離して業務を行なわせるなどの報復処分とも取られかねないような対応したG社に対し、H氏は不法行為であるとして損害賠償請求をした。

[ 富山地裁判決 平成17年2月23日 ]

 

会社には人事権を行使できる裁量があるが、その会社の裁量権は合理的な目的の
範囲内で、法令や公序良俗に反しない程度で行使されるべきであり、これを逸脱
する場合は違法であるとして、不法行為(民法709条) 及び債務不履行(民法415条)に基づく損害賠償責任を認め、慰謝料と財産的損害、弁護士費用 合わせて
およそ1,350万円の損害の賠償をするように命ずる判決を出した。 

 

パワハラ裁判事例 その4

(経営者によるパワハラ)

職業紹介事業を業務としているQ社に雇用されていたRさんが、Q社の代表取締役
社長であるSから執拗に SNS 上で誹謗中傷され暴言を吐かれるなどのパワハラを
受けたとして、Q社及び社長のSに対し不法行為に基づく損害賠償請求をした。

 [ 東京地裁判決  平成27年1月15日]

社長Sの Rさんに対する誹謗中傷行為は明確なパワハラ行為であり、不法行為を成立するものとして、社長のSは民法709条の不法行為により、またQ社は民法715条の使用者責任により、連帯して損害を弁償する (慰謝料を支払う)ようにとの判決を下した。

裁判の判例をまとめてみると見えてくる「ハラスメントへの対処法」

 

1 労働者側 (被害者側) がやっておくべきこと 証拠と立証責任

 

ハラスメントがあったと単に「主張」するだけでは解決できません。

裁判では、裁判官がその存在を認めた事実 (認定事実) に基づきパワハラがあったか、なかったかの判断がなされるからです。 

裁判官に対し証明できない事実は「無いに等しい」くらいに考えておく必要があります。

証明 (立証責任) は基本的にその事実の存在を主張する側、つまり労働者側 (被害者側) の責任とされるからです。 

 

したがって、パワハラがあったことの「立証」が絶対に必要となってくるわけです。 そして立証するためには「証拠」つまり「書面による記録または録音された音声」などがなければ、たとえ自分が正しくても自分の請求が認められないこともあり得るのです。

現に「証拠」が決め手となってパワハラ裁判で勝利を勝ち取った例もあるのです。

 パワハラ裁判事例 その5

 ( 暁産業ほか事件 福井地方裁判所判例 平成26年11月28日 )

福井県のとある企業Cに入社した高卒の新入社員A君が、上司Bのパワハラによって自殺するまでに追い込まれるに至り、A君の父親が上司BとC社に損害賠償を請求した事件。 

A君は上司から受けた指導内容や言われた酷い言葉を手帳やノートに書いてこまめに記録しており、その記載内容に基づきパワハラ発言があったことが裁判所によって認定されました。

結論として上司BとC社に連帯して約7,260万円の賠償金を支払うことを命じた判決が出ました。

パワハラがあったことを正確に記録して「証拠」を残しておいたことが結果として裁判で勝利を勝ち取ることに繋がったわけです。 

パワハラの証明に「秘密録音」は証拠として使えるか?

 

民間企業でもパワハラから自分の身を守るために、上司との会話をこっそり録音する ビジネスマンが増えてきました。

民事裁判ではパワハラを不法行為として認定する判決が相次いで出されています

そのとき、証拠として被害者側が多く提出するのが、被害者が密かに録音した上司の罵声や恫喝する音声です。

これらの音声は被害者側が密かに録音したもので、いわゆる「秘密録音」によるものです。

 

IC レコーダーやスマホなどデジタル機器の普及により、会話を秘密に録音することへの抵抗は間違いなく薄れてきています。

パワハラ裁判では録音データは有力な証拠となり得ます。 

録音によって発言が具体的に分かれば、より判断しやすくなります。

たとえ無断で録音した「秘密録音」であっても、録音が著しく反社会的な手段によるものでない限り証拠として有効である」という東京高裁の判決も出ています。
会社側がたとえ無許可の「秘密録音」を禁止していたとしても、 裁判ではそんなことは何の影響もありません。

「秘密録音」の目的が、不当解雇やパワハラの証明という、労働者の身分と権利を守ることに使われるものである場合には、「秘密録音」であっても証拠として有効になり得るのです。

 

 

2 使用者側 (会社側) がするべきこと

 

労働者 (被害者側) は、パワハラを受けたと訴えることで、周りに迷惑をかけてしまうのではないかという意識を持つ場合があります。

んなときは丁寧な対応により、労働者 (被害者側) の立場を考慮し、働きかけてあげることが必要となります。

これらはもちろん労働者 (被害者) に裁判を起こされる前に行わなければなりません。

 

もし裁判を起こされ、ハラスメントがあったと認定されると、使用者側は「使用者責任」や「職場環境配慮義務違反」の責任を負うことになるため、事実の調査
=事実の認定が重要になってきます。

しかし、会社 (使用者) は捜査機関ではなく、強制的な権限があるわけでもないので、調査には限界があります。 

限界があるとはいえ、出来る限りの調査を行うことが求められますが、その際は
余談や偏見に基づく調査とならないように注意しなければなりません。

例えば、パワハラの加害者・被害者両方の当事者から別々に聞き取り調査を行い、記録を突き合わせながら、どちらの話が自然で証言に矛盾がないか、全体として信用できるか、などを検討する作業が重要となります。
これらは冤罪を防ぐという意味でも不可欠となってきます。

 

終わりに ハラスメントを予防するために

 

世間ではハラスメントを行うということは、法的な責任が生じることであるという理解や認識がまだまだ不十分なようです。

法的には、相手の人格 (人格権) を傷つけることについて責任が問われているのだと結論づけることができます。

仕事がらみのことだから相手の人格を傷つけても構わないという考えをお持ちの方がまだいらっしゃるようですが、絶対にそんなことはありえません !

ハラスメントを行っていることを早期に気付かせてあげることは、会社はもとより加害者の更生のためでもあるのです。


組織のために、ハラスメントのある職場を放置しておいては絶対にいけません。

組織のために、すべての社員が協力してパワハラの撲滅を目指しましょう。

「パワハラ防止法」が成立したのに 相変わらず “パワハラ”する人に教えたい
裁判事例と法的責任  終わり

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