不条理事故を繰り返す高齢ドライバーを救え! 待たれる自動運転車の未来

不条理事故を繰り返す高齢ドライバーを救え! 待たれる自動運転車の未来

[2019年11月 追記補正最新版]

はじめに

最近また連日のように高齢ドライバーによる異常運転のニュースが新聞やテレビで報道され、世間を騒がせています。

かつてはよく報道された高速道路の逆走事故などは少なくなったようですが、相変わらずアクセルとブレーキの踏み間違いによる建物への飛び込み事故などは時々発生しており、決して無くなることはありません。

※高齢ドライバーによる最新事故情報 (緊急加筆)

2019年4月19日、東京・池袋87歳の高齢男性が運転する乗用車が暴走して通行人らを跳ね、自転車の母娘が死亡し、車の運転者を含む男女8人が重軽傷を負った事故がありました。
ドライブレコーダーの解析などから、この高齢運転者はブレーキを踏まずに加速を続け、歩行者らに突っ込んだものとみられます。
運転者は「アクセルが戻らなくなった」と話していますが、車内にアクセルペダルの動きを妨げるような障害物は何もないところから、車の不具合ではなく、運転者がパニックを起こしたことによりブレーキを踏むことができなかった、操作ミスによるものではないかと考えられています。
歩行者らを跳ね、ゴミ収集車などに衝突した後、停止した車はエアバッグが正常に作動していました。

警視庁は、この高齢運転者が加齢などに伴う運動能力の低下が影響して運転操作を誤ったものとみて、自動車運転死傷行為処罰法違反 (過失運転致死傷) の容疑で取り調べています。

警察庁によると、昨年 (2018年) 1年間に交通死亡事故を起こした75歳以上の高齢者460人で、前年より大幅に増えています。 
事故原因はハンドルやアクセル、ブレーキなどの「運転操作ミス」によるものが過去最多となりました。

スポンサーリンク
スポンサーリンク




目次

「加害者が高齢ドライバー」問題を再考してみる

 最近も、ある高齢ドライバーが運転中に飲み物を飲んでむせてしまい、フロントガラスに飲み物を吹き出し、びっくりして運転を誤って対向車線を突っ切り、反対側の歩道に乗り上げて何の関係もない歩行者を跳ねて死亡させてしまうという最悪の事故がありました。
犠牲になった罪のない人たちが本当にかわいそうでなりません。

でもこれは、高齢者による過失事故なのだから仕方がないで済まされる問題なのでしょうか?

「加害者が高齢ドライバー」問題 これは本当に厄介な問題です。

また、最近では交通法規を守らない高齢ドライバーが増えたようで、平然と歩道を走行したり、交通標識を守らなかったり、遮断機が降りているのに無理やり踏切に侵入したりするケースが目立つようです。

はっきり申し上げて大変な迷惑です。 社会悪です。 加齢による認知能力の低下により交通法規をすっかり忘れてしまったのか、それとも交通法規など守らなくていいと思うようになってしまったのか、真相は分かりませんが、本当に困ったものです。

あおり運転をする卑劣な犯罪者と同じく、「厄介者」運転者であることに間違いないのではないでしょうか。   

たとえ本人に悪意はなくとも、重大事故につながってしまう恐れがあるのであればそれはやはり社会悪なのではないでしょうか。

最近は悪質な運転をする高齢ドライバーのケースも目立つようになり、何事もなかったかのように交通違反を繰り返す高齢者に対し、私は最近では憎しみさえ感じるようになってきました。 以前にはそのようなことを考えたことなどはなかったのですが、あまりにも高齢ドライバーによる理不尽な、そして不条理な事故が多発することを見聞きするにつれ、そのような考え方に変わってきてしまいました。

 私は以前このブログサイトにおいて「高齢ドライバー 低下する認知能力 親に運転をやめてもらう一番の方法とは?」と題した記事を書かせていただいたことがあります。その時に比べると、高齢ドライバーに対する認識も、私の心の中でかなり変化してきました。

高齢になると認知能力が衰えるのは仕方のないことですが、そこから先が問題なのです。

自分が運転するのに適さない年齢になった人間であるということを全く理解しようとせず、運転を止めようと考える高齢者が依然として少ないのは本当に残念なことです。

認知能力が衰えたのであれば、免許を返納して運転しないようにしようと考えるのが当たり前のことなのですが、それを理解せず実行しようとしない高齢者が なんと多いことでしょうか。

今回のブログでは、危ない高齢ドライバーであるにもかかわらずそれに気がつかない高齢者に対して、事故を防止するための最新の技術と対策があることを知っていただきたいと思い、記事にしてみました。

どうかご一緒に考えてみてください。

高齢ドライバーによる重大な交通事故の事例とその原因を考察する

事例その1 逆走事故 事故発生日 2018年7月25日

神奈川県横須賀市内の「横浜横須賀道路」下り線を当時70歳の男性の運転する乗用車が約10 kmの距離を15分間にわたって逆走して対向車7台と衝突し、6人が重軽傷を負った事故。  

逆走車は次々に押し寄せる順走車に接触しながら、速度を緩めず、車輪の一つが脱落し停止するまで逆走を続けた。

事故原因の考察 仮説として考えられるのは、自分ではどうしようもない運転を続けることへの「固執」です。人は強いストレスにさらされると、たとえ不合理であっても特定の行動に執着することがあります。

もしかするとこの運転者は次々と対向車がぶつかってくる理不尽な状況を早く抜け出したいと願うあまり、かたくなに逆走を続けたのではないかと考えられるのです。

事例その2 信号無視 事故発生日 2018年5月28日

神奈川県茅ケ崎市の国道1号線で当時90歳の高齢女性が運転する乗用車が交差点で歩行者4人を跳ね、1人が死亡、3人が重軽傷を負った。

目撃者によると、女性の運転する車は信号無視をし、ものすごいスピードで横切って歩道に突っ込んだようで、ブレーキをかけた様子はなく、運転者は事故後、「信号はだと分かっていたが、歩行者が渡り始めていなかったので通過できると思った」と述べている。

事故原因の考察 赤信号であることを知りつつ止まらないという交通法規法令遵守の認識が無かったというだけで運転不適格者である。

また、歩行者を視てその存在を確認しながらも、通過できると思い込み、4人に衝突してしまうという運動能力の無さも運転不適格者であるといえる。

ただ、急いだ理由として、見送ってくれる人をいつまでも立たせておいてはまずいと感じたためとされているところから、「悪意なき重過失」として認めざるを得ないのではないかと考えられている。

(出典 : 週刊現代 2019.6.8号)


75歳以上の高齢ドライバーによる交通死亡事故は、昨年(2018年)には460件に上り、死亡事故全体に占める割合は約15%と過去最多になっています。

その3 ブレーキとアクセルの踏み間違え

その他、以前から非常に数多くある事例として「ブレーキとアクセルの踏み間違え」というものがあります。
本来ならブレーキを踏まなければならないところが、誤ってアクセルを踏み込んでしまい、加速に動揺してパニックを起こし、さらに深く力いっぱいアクセルを踏み込んでしまったという事例が数多く報じられています。

当然のことながら車は急加速して人を跳ねてしまうという場合が多く、何人もの死者・重軽傷者が生じていることが報告されています。

高齢ドライバーがブレーキとアクセルを踏み間違えてしまう理由はおそらく、年齢による認知能力の低下、そして運動能力と反射神経もまた著しく低下していることによるものと考えられます。

このような相次ぐ事故を受け、警察庁は自動ブレーキ操作ミス防止システム
(踏み間違い防止機能) などを搭載した、高齢者向けの「安全運転サポート車」を作り、そのサポート車のみ運転することができる限定免許」の導入を検討しています。

高齢ドライバーに多い「不条理な交通事故」の特徴

上に述べた高齢ドライバーによる交通事故の事例を読んでいただければお分かりのように、「こんなことをする高齢者に自動車の運転をさせては絶対にいけない」と強く感じさせられるものになっています。

これらは高齢者による「不条理な事故」と呼ぶことができると思います。

「不条理な事故」とは、そんなことが起きてよいのか、どうして防げなかったのか、など理屈とは別のやりきれない思いを人に投げかけるものです。

そしてこの「不条理な事故」には次に述べるような特徴があると考えられます。

.運転の行動がとにかく異常で、常識で考えうる許容範囲を大きく逸脱して
  いること。

.事故の結果として悲惨かつ重大な被害を与えてしまっていること。

.予測不能の事態のため、被害者が自分の身を守ることが不可能または極めて
  困難であること。

高齢者による「不条理事故」への対策はあるか?

高齢ドライバーによる不条理な交通事故の対策としてはどのようにしたらよいのでしょうか?

一番重要なのは高齢者自らが免許の自主返納をすることや、免許更新を行わないことです。  しかし、そのように考えてくださる高齢者はまだまだ少なく、免許の返納には強い抵抗感を持つ人たちがまだ大勢いるということを忘れてはいけないと思います。

特に地方に居住し、生活をするうえで車を運転することが日常的に必要な高齢の人たちにとっては、返納は深刻な問題であるといえるでしょう。
なぜなら地方では、買い物通院などのためにマイカーを手放せないと考える高齢者が依然として多いからです。

ですからここで大切なのは、免許を返納した後も高齢者の生活の質を落とさない仕組みづくりを整備することなのだろうと思います。

さらに認知能力の低下により認知症の恐れのある人は返納する決断が難しくなりますから、本人の自覚や家族・周囲の努力が必要となります。 

また認知症検査による免許更新停止がなかったとしても、実際には異常運転を行っている事例が多いことに注意する必要があります。

自動ブレーキ車により事故を防止できるのではないだろうか?

免許の返納以外にも自動車業界における最新の安全技術の組み合わせにより、自動運転を待たずとも、現在可能な要素技術の組み合わせにより事故を防止することができる可能性が増してきました。

今日では自動ブレーキを搭載した車が増え、追突事故などはめっきり減少しつつあります。
AI人工知能の発達により、赤信号を認識して運転者に警告を出すことなどは、すでに可能な状態になっています。

ただしブレーキとアクセルの踏み間違い」に関してはもう一段の技術革新が必要となるため、完全には解決できていない状態です。
高齢運転者の咄嗟の判断力に任せざる得ない状況にあります。
ですから、残念ながら踏み間違い事故に関しては一向に減少する気配がないのです。

また逆走の防止についても、 GPS を活用して進入時の車線の判定や対向車の状況などを総合すれば、対策は十分に可能であるといえるでしょう。

自動ブレーキ車購入には公的補助が必要です !

なお、これらの安全装備の多くは技術的・経済的な理由から既成車両への後付けができないため、新車製造時に組入れざるを得ません。

そうなると有効な技術が開発されたとしても新車に買い換えることが必要となるため普及に時間がかかり、高齢者に新車を買わせることになるため経済的にも相当な負担になることが考えられます。

そのために高齢ドライバーの安全装置付き車両への買い替えに対しては公的補助を行うことを考えていただきたいものです。
一部の自治体ではその取り組みはすでに始まっていますが、車の買い替えとなると数万円程度の金額では効果は限定的であるため、国レベルでの政策としての検討があれば大変助かると思います。

対象者を高齢運転者に限定すれば国の財源でまとまった金額の補助が可能となるかもしれません。是非とも国家政策として考えていただきたいものです。

自動運転車が導く明るい未来

現在、各自動車メーカーはドライバーが対応しなくてもいい「完全自動運転車」の開発にしのぎを削っています。

自動運転は将来、高齢者の買い物や病院通いに、あるいは過疎地の交通網の維持などへの活用が期待されています。

警察庁が2020年の実用化を目指して、「レベル3」の自動運転車に対応する「道路交通法改正案」の骨格をまとめました。
今国会 (2019年) に法案を提出する予定です。

自動運転はドライバーが運転する「レベル0」から、全ての運転操作をコンピューターのシステムに委ねる完全自動運転の「レベル5」まであります。

「レベル3」は高速道路などに限定した条件付き自動運転システムで、2020年時点では渋滞時のみの実用化が想定されています。

自動運転システムに明らかな異常が生じた場合や自動運転の条件に該当しなくなった場合などを除き、自動運転中は基本的に自動運転システム (人工知能) が運転の主体となります。

そのために自動運転中はドライバーにスマートフォン・携帯電話の利用食事、読書などを認める方針で、自動走行の条件を外れるときは速やかにドライバーに音や振動で運転交代を引き継ぐことを求めることが条件になっています。

そのため、必ずドライバーは運転席に座っていることが条件で、自動運転中にも安全運転義務が課されることになります。

(表引用 : 日本経済新聞)

自動運転「レベル3」の実用化は、そう遠くない将来に高齢者のための自動運転社会という明るい未来を構築するための第一歩なのです。

自動運転車という技術革新社会制度の成長により高齢者の「理不尽な」そして「不条理な」事故が完全になくなることを望みたいと思います。

不条理事故を繰り返す高齢ドライバーを救え! 待たれる自動運転車の未来
終わり

スポンサーリンク
スポンサーリンク




シェアする

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク