認知症対策にも有益! 財産を守る”任意後見制度”を活用してみましょう
はじめに
5人に1人が認知症を発症する時代がやってきます!!
2015年1月に厚生労働省が発表した「認知症施策推進総合戦略」 ( 通称「新オレンジプラン」) によれば、わが国における認知症の患者数は2012年で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推定されています。
しかしその数は今後高齢化が進むにつれてさらに増加することが見込まれており、現在入手できるデータに基づいて新たな計測を行ったところ、2025年には認知症の患者数は約730万人前後となることが予測されました。
これは実に65歳以上の高齢者に対する割合が現在の約7人に1人から約5人に1人に増加する見込みとなるということなのです。
そしてこの数値から推測できることは、今後認知症の高齢者が増えるにつれ、特殊詐欺などの被害に遭う高齢者もまた増加していくということなのです。
今回はこのような高齢者が巻き込まれやすい財産トラブルを未然に防ぐために、「任意後見」という制度を使って自分の財産を守る方法があるということをこの
ブログをお読みの皆様にお知らせしようと思っています。
かなりの長文ですが、どうか最後までお読みいただければ幸いです。
目次
高齢者の財産が狙われている!
昨今では、高齢者を狙った犯罪の話題をテレビや新聞などで頻繁に見聞きするようになりました。
実際、65歳以上の高齢者が狙われやすい「特殊詐欺犯罪」は増加する一方です。 特殊詐欺とは、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、還付金詐欺などの、いわゆる「振り込め詐欺」と呼ばれているもののことです。
こうした状況の背景にあるのは、単純に高齢者人口が増えているということだけではなく、高齢者たちが保有している金融資産が高額であるということによるものです。
現在の高齢者たちは他の年代の人たちよりも突出して預貯金の額が多いということで知られており、いろいろな詐欺の格好のターゲットになっています。
総務省の「家計調査」のデータによると、60歳以上の世帯の貯蓄高が他の年齢階級と比べて突出して高くなっています。
60~69歳と70歳以上の年齢階級ではどちらも平均して約2,500万円の貯蓄額があるのです。
テレビなどで高齢者がまた詐欺被害にあったというニュースを見聞きしたとき、多くの方が抱く感想が「これだけ新聞やテレビで騒がれているのにどうしてそんなに簡単に騙されてしまうのだろう?」というものだと思います。
「詐欺だと気付いて良さそうなものなのにどうして詐欺被害に遭う高齢者が減らないのだろう?」 きっとそう思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
高齢者が詐欺の被害に遭う真の理由
高齢者が詐欺の被害者になってしまうのにはある理由があるのです。
それは間違いなく、加齢による判断能力の低下によるものです。
記憶や学習、色々な判断をする脳の神経細胞が老化することによって、働きが悪くなってきます。
その結果、物覚えが悪くなったり判断能力が衰えたりしてしまうのです。
ですからある程度の年齢になったら誰でも、「自分の判断能力は十分ではないかもしれない」と自覚することが、自分の財産を守ることにつながってゆくのではないでしょうか。
自分ではどうにもできない認知症発症のリスク
場合によっては判断能力の低下を自覚するだけでは防ぎようのない事態に陥ることがあります。 それは認知症を発症してしまうことです。
加齢とともにそれまで出来ていた記憶や正しい判断、あるいはかつて学習した物事の正しい理解などができなくなり、その障害の程度が一定のレベルを超えた時、認知症が発症したと認められるのです。
認知症については、糖尿病の人や高脂血症の人すなわち生活習慣病の人がなりやすいと言われており、特定の生活習慣が発症に影響することが指摘されていますが、発症原因については未だ不明な点も多く、決定的な治療方法も確立されてはいません。
認知症薬についても最近はいい薬が出回っていますが、あくまで症状を遅らせるものであって、病気を完治させるものではありません。
認知症高齢者を狙った特殊詐欺の恐ろしい実態
今後認知症の高齢者が増えるにつれ、特殊詐欺などの被害に遭う高齢者も増加していくものと考えられています。
例えば最近のオレオレ詐欺は足がつかないように銀行振込を避けて、手渡しを指定してくることが増えていますが、これにも加齢による認知能力の低下が大きく関係しています。
加齢によって視覚や聴覚の機能が低下すると、外部からの情報を誤って認識するようになり、その結果として正しい判断が出来にくくなっていくのです。
その他にも、うまい儲け話に騙される、いわゆる投資詐欺に遭うこともあります。 現金をだまし取る以外にも、古そうな家を見つけてはリフォームを勧めて
法外な金額を請求したりする、いわゆるリフォーム詐欺といわれるものや、必要
のない健康器具などを高い金額で売りつけたりすることもよくあります。
しかし、あらかじめ適切な対策を講じておけば、これらの詐欺に遭うことは十分に回避できると思われるのです。
認知能力が低下することによる詐欺などの被害や財産トラブルを未然に防ぐ制度が日本には存在しています。
それが成年後見制度の種類の一つである「任意後見」といわれる制度です。
成年後見制度の概要 [復習の意味でまとめておきます]
「成年後見制度」とは認知症など精神上の障害により判断能力が不十分で意思決定が困難な人について、家庭裁判所によって選任された第三者が後見人となりその判断能力を補って財産などの権利を守る法制度のことです。
「成年後見制度」は認知症や知的障害などで判断能力が不十分な成人に代わり、選ばれた後見人が財産管理や生活支援(身上監護)を行う制度です。
認知症や知的障害で十分な判断能力を有しない人に代わり、親族や法律専門職らの後見人が財産管理などを行って、悪質商法や詐欺商法の被害などから高齢者や社会的弱者らを守る、極めて意義のある制度と言えるでしょう。
認知症の高齢者が増加する中で、その権利や財産を守るための成年後見制度の重要性は年を追うごとに増してきています。
「成年後見制度」は大きく分けて「法定後見」と「任意後見」の二つに分類されるのですが、法定後見の方は 現時点で既に認知症を発症しているなど、判断能力が
すでに不十分な状態になってしまっている場合に、本人をどのように支援するかを決める制度です。
支援を行う後見人は家庭裁判所が決定し、支援する内容は本人の意思とは関係なく法律で決められています。
私は以前このブログで「超高齢社会における認知症リスク 認知症による銀行口座凍結を防ぐには?」と題する記事を書いたことがあります。
認知症を発症していることが分ると、本人の銀行口座が凍結され、家族といえども預金を引き出すことができなくなってしまうのです。
しかしこの法定後見を利用して親族が後見人になれば、銀行口座が凍結されていたとしても、介護費用など必要な経費を 本人の口座から引き出すことができるようになるのです。 でも、ちよっと待って下さい。 これはあくまでも建前です。
実際には家族が法定後見人に選ばれる割合は非常に低くなっています。
誰を法定後見人に選ぶかは家庭裁判所の考え方ひとつで決まってくるからです。
家庭裁判所では今、家族ではなく法律専門職らを法定後見人に選任するのが一般的になっています。 いくら家族が後見人になりたくても、希望どおりにはいかないのが現実なのです。
これは認知症になった親などをかかえた家族にとっては大変困難な事態なのです。
なぜなら家庭裁判所は、認知症になった人の財産を守ること・減らさないことを第一に考えているからです。
ですから、こんな事態に陥らないためには、親が認知症になってからあわてて何とかしようとしてももう遅いのです。
親が認知症になる前に何らかの対策を立てておかなければならないのです。
そのための有益な方法の一つが次の章で述べる任意後見制度です。
任意後見を利用して老後の財産をしっかり管理する方法
「任意後見制度」は、認知能力が低下する前にあらかじめ任意後見人になる人を決
めて、その人と任意後見契約を結び、将来認知症などで判断能力が不十分になった
時に支援を受ける制度です。
任意後見契約は、法律によって、公証役場に出向いて「公正証書」によって締結
することが定められています。
「任意後見制度」は、判断能力がまだしっかりしているときに、後見人として信頼できる人を自分で選び、「将来もし自分が認知症になって判断能力がなくなったとしても、こんなふうなことをして欲しい」という望みを託すことができる制度です。
日々の生活や療養看護の環境、財産管理などについて、任意後見人に代理権を与える契約を結ぶことによって、最後まで 自分の人生を自由に設計し、実行することを可能にする制度なのです。
まさに自分だけのオーダーメイドの老後プランを作り、それが実行されるように細かく契約で決めることが出来て、仮に認知症を発症した後でも自分らしく尊厳のある人生を送るのに役立つ制度、それが「任意後見制度」なのです。
任意後見契約と同時に締結すべき2つの契約がある
通常、任意後見契約を締結するときは、同時に生活支援や療養看護あるいは財産管理などに関することについての委任契約を結ぶのが普通です。
・財産管理に関することの委任契約 → 財産管理契約
・生活支援や療養看護に関することの委任契約 → 見守り契約
高齢者のなかには、まだ判断能力は低下してはいないものの、足腰が弱って銀行に足を運ぶことが困難だったり、財産管理を自分ですることが難しくなったりしている人が少なくありません。
このような時に高齢者と任意後見受任者、つまり後に任意後見人になる人との間で「財産管理契約」という委任契約を取り交わすことがあります。
これが任意後見契約と同時にとりかわすべき契約のひとつです。
財産管理契約で委任できる財産管理の内容としては、
・財産の保存と管理
・金融機関との取引
・定期的な収入の受領や支出、費用の支払い
・生活に必要な財産の購入 など、
本人の希望に応じて多岐にわたることになります。
また、財産管理契約と並んで締結しておきたいのが「見守り契約」です。
見守り契約とは任意後見制度が始まるまでの間、任意後見受任者が本人と電話などで連絡を取り合ったり、定期的に訪問したりする契約のことです。
定期的に連絡を取り合うことにより、本人の健康面の変化や悩み事などの相談をすることができ、後見人となる予定の人のほうにも本人の判断能力がどの程度なのかを確認することができるというメリットがあります。
任意後見制度ではその後、本人の判断能力が低下してきたときに、任意後見受任者
によって任意後見開始の申立を行い、これを受けて家庭裁判所が任意後見監督人を
選任することによって、任意後見契約がスタートできる仕組みになっています。
任意後見契約を適切な時期にスタートさせるためにも、見守り契約を結んで定期的に面談を行ったり、電話などで連絡を取り合ったりして本人の認知能力の状態をチェックしておくことが非常に重要なことになるわけです。
誰を任意後見人に選ぶと正解なのか?
任意後見契約の締結時に、見守り契約や財産管理契約を合わせて締結することで、任意後見制度は非常に使い勝手の良いものになることが分かっています。
そうなると、一番重要な問題は「誰を後見人に選んだら良いのか?」ということに尽きると思います。
誰が後見人になるかで、この任意後見制度が実りあるものになるか、ならないかが決まると言っても決して過言ではありません。
というのも、この制度は使い方次第で悪用されてしまう可能性が大いにあるからです。
財産管理契約を締結すると、任意後見受任者は本人の代理として通帳や印鑑を預かることができます。 この段階ではまだ本人に十分な認知能力があるため、任意後見は発動していないのですが、その後本人の認知能力が衰えて任意後見制度が本格的に発動すると、家庭裁判所に申し立てる必要があり、家庭裁判所の命令により任意後見監督人が付くことになります。
これによって任意後見制度が本格的に始動し、任意後見人は帳簿付けをするなど、今まで以上にしっかりとした財産管理をしなければならなくなります。
任意後見監督人がいるので一切のごまかしがきかなくなるのです。
ですから、もし任意後見受任者に悪意があれば、本人の認知能力が衰える前であれば通帳も印鑑も自由に管理できることになり、うるさい監督人もいないので、やりたい放題不正行為を行うかもしれません。
だからこそ、そのようなことがないように任意後見人には絶対に信頼がおける人を選ばなければならないのです。 悪意を持った人を任意後見人に選んでしまうと、 任意後見を発動すべき時期になっても申し立てを行わず、財産管理と称して横領などの不正行為を続けるということになりかねないのです。
もちろんこれは紛れもない犯罪行為です。
絶対に信頼がおける人物とは一体誰なのか? 子どもでいいのか?
信頼できる人物というと、おそらく真っ先に考えるのがよく見知った身内、つまり家族、それも多くの場合はお子様を想定する人が多いかと思います。
しかし、ちょっと待ってください!!
子どもを任意後見人にすることはあまりお勧めできないことなのです。
なぜかと言うと、子どもは本人が亡くなった後、相続人になる立場の人だからです。 ちょっと子どもの立場になって考えてみてください。
子どもは自分が相続人になることがわかっているのに、親が自分自身のために自分の財産を使ってしまうことをはたして良しとするでしょうか?
さあどんどんお使いなさいという気持ちになれるでしょうか?
相続財産をめぐる親子の思惑の違いが現実のものになるとき
どんな時に親が自分自身のために財産を使うかというと、例えば自分が入りたい老人ホームに入居するための一時金としてまとまったお金を使ってしまうというようなことがあります。
このように親がお金を使うということは、その分だけ相続財産が減ってしまうということを意味するのです。 子どもの立場からすれば、親があまりお金を使わず、たくさんのお金を残してくれればくれるほど、相続財産として自分たちに入ってくることになります。
しかし親が自分自身のために多くのお金を使ってしまったら、自分たちに残されるもの=財産が少なくなってしまいます。
実際、資産家であるにもかかわらず、認知能力の低下とともに子どもに財産を握られてしまい、サービスの良くない介護施設に無理やり入れられ辛い思いをしている認知症の高齢者が世の中にはたくさんいるのです。
認知能力が不十分になった途端に厄介者扱いされ、財産を子どもに握られて、お金をかけるべき人間として扱ってもらえなくなるという悲しい現実が数多くあるのだということを知っておいていただきたいと思います。
それほど認知症になるということは悲惨な事なのです。
つまり [相続] という場合においては、親と子は相反する利益を持つ間柄になってしまうのです。 そうなると、たとえ親が自分の老後のために自分の好きなプランを立てて、それを任意後見人である子どもに託したとしても、肝心の子どもがその意図を汲んでくれず実行されなければ全く意味がないことになります。
というわけで、任意後見人になってもらうための一番信頼できる人=子どもという考え方は間違っていると、あえて私は断言いたします。
任意後見人は相続人(子どもなどの親族)であってはいけないのです。
再び問う 誰を任意後見人に選んだら良いのか ?
それではいったい誰を任意後見人に選べばいいんだ !? と、きっと思われていることでしょう。 それでは申し上げます。
あなたのお子様などの親族よりもむしろ利害関係のない第三者を任意後見人として
選ぶことをお勧めします。
もちろんあなたにとって最も信頼できる第三者を選ぶのです。
じゃあ信頼のできる第三者って誰なんですか !?
どうやって選ぶんですか !?
きっとそう思われるかもしれません。
信頼できる第三者ですから、もちろんあなたが信頼する友人・知人であっても全然構いません。 ですが、「成年後見制度」や 「任意後見制度」にある程度詳しい人物または団体でないと、あなたが満足する仕事をしていただけないと思います。
基本的にはある程度法律に詳しく、なおかつあなたが保有している資産を有効活用
し、快適な老後への備えにとどまらず、相続まで見越した財産活用の長期的なプラ
ンを策定できる人物または団体である必要があります。
やはり選ぶなら無難に法律専門職を
そうなると真っ先に思いつくのはやはり弁護士や司法書士などの法律専門職だと思われます。 しかも任意後見制度はまだあまり世の中に広く知られていないため、制度に十分な知識と経験がある法律専門職を選ぶ必要があります。
仮にあなたが任意後見制度に詳しい弁護士や司法書士・行政書士などの法律専門職の方と親しいお付き合いをしていらっしゃるのであれば大変結構なことなのですが、一般的にはそのような方たちとはお付き合いもないし、存じ上げないという人のほうが多いかと思われます。
そのような時はインターネットなどで検索して、適当な法律専門職を探してみるか、どなたかのつてを頼って紹介してもらうようにしたらよろしいかと思います。
また地元の法律専門職の方に片っ端から電話をして、任意後見を扱ったことがあるかどうかを確認してから、直接出向いて面談し、任意後見のことについて相談してみて、自分と相性が良いかどうか、信頼できる人物であるかどうかを確認するという方法もあります。
このように直接「法律相談」などというかたちで会いに行くというのは、相手との相性を見極める意味でも非常に良い方法です。
この時考慮するのはその法律専門職の方の年齢と、財務的なセンスがあるかどうかです。
まず年齢を考慮するということは大切なことです。
なぜなら、もしあなたと同世代の方が後見人になったとしたら、相手にも病気になったり、判断能力が落ちてしまうというリスクがあるということですから、安心して任せられません。
なるべく自分の子どもと同世代か、それ以下の若い世代の方を選んだ方がよろしいかと思われます。
これから長い間後見人になってもらうわけですから、出来れば若い人の方がよろしいですし、財産管理を託す以上、あなたにとって最大限の利益が得られるような財務的プランニング能力がなければならないからです。
法律的に物事を解決する能力はもちろんのこと、それにプラスして財務的なセンスを併せ持っていて初めて、財産管理についての適切なアドバイスが可能となるのです。
依頼人が自分の資産を最大限に活用して老後の生活を心身ともに穏やかに過ごすことができ、なおかつ相続人にとっても納得のいく財産活用計画を提案できるようでなければ、任意後見受任者として、またその後の任意後見人としては不適格だと思います。
誰を任意後見人に選ぶべきか その結論
任意後見契約は様々な要素に配慮しながら内容を決めていかなければならない契約です。
ですから後見人が依頼者自身も気づいていないニーズを掘り起こしながら解決策を提案していけるような能力を持つことが非常に重要なことになります。
特に財産管理については依頼者の財産の全貌を把握し何か問題を抱えていないか、本人も気づいていない視点から問題を掘り起こし解決できるように進めていく能力が大切です。
それでは誰を任意後見人に選んだらベストなのか?
あなたが安心して任意後見人に選ぶべき人物像 それは・・・
基本的には、あなたより若い世代の、任意後見制度に関する法律的な知識と財産管
理についての財務的なセンスを持った、責任感の強い、信頼するに足る人物である
ことが絶対条件です。
あなたの身の回りの親族 (子どもは除く) またはそれ以外の一般の方たちのなかに、このような人物がいらっしゃいますか?
誰か思い当たる方がいらっしゃるでしょうか?
あなたが信頼できる友人・知人の中にそのような方がいらっしゃればいいのですが、もしいらっしゃらなければ、そのときは別の方法で任意後見人を選ぶ必要があります。
次に考えられるのは、やはり無難に弁護士や司法書士または行政書士などのような「法律専門職」に依頼することです。
彼らについては何度も前述したように まず安心感が他の方と全然違います。
専門家に任せておけば安心とお考えの方はそのようになさったほうがよろしいでしょう。 なお、これらのような法律の専門家に頼む場合にはそれなりのかなり 高額の報酬が必要となりますので、この点に関しては十分にお考えになられた方がよろしいかと思います。
もう一つ考えられるのは、前述したように後見人には法律知識だけではなく財産管理についてのプランニング能力つまり財務的センスが必要であると申し上げておりますので、老後資金設計についての専門的知識と能力を持つ職業の人間、具体的に言うとファイナンシャルプランナー ( FP ) に任意後見人の依頼をすることです。
ファイナンシャルプランナーはれっきとした国家資格であり、国際認定資格でもあります。
任意後見制度に詳しい法律専門職の資格をも併せ持っている FP も探してみると結構多くおりますので、検討してみるのも一つの方法であると思います。
認知症になった後も自分らしく生きるためには
自分が高齢になって認知能力が衰えたり、認知症を発症したりして以前とは全く異なった環境に置かれる姿を想像してみてください。
非常に切なく悲しい気持ちになると思います。
このブログを読んでいるあなたは今、年齢はおいくつですか?
今や「人生100年時代」を迎えようとしているのです。
自分が75歳、80歳、85歳あるいはそれ以上の年齢になった時の事を想像してみて
ください。
加齢によって認知能力が低下している可能性はかなり高くなるでしょう。
これは人間である以上どうしようもないことなのです。
もしかしたらすでに認知症を発症して自分では何も判断できずにただの「生ける屍」のようになっているかもしれません。
人間が認知能力を失うということは、自分の事を自分で決められなくなるという
ことです。 自分以外の人によって自分の築き上げた財産の使い道が決められたり、医食住のすべてを決められたりするということです。
そのようなことあなたには耐えられますか?
「そんなことには耐えられない! 冗談じゃない!」と思いませんか?
ですからそのようなことにならないように事前に準備をしておかなくてはいけないのです。 認知能力が低下してしまったら自分の老後を自分で設計することはほぼ不可能になってしまうからです。
10年後の自分に対して、20年後の自分に対して、現在の10年~20年ぐらい若い自分が心地よく快適だと感じることを用意周到に準備しておくことが自分らしく生き抜くことにつながると私は考えています。
誰もが自分が一生懸命働いて築き上げてきた財産を自分自身のために活用したいと思うことでしょう。
そのための準備として最適なのは、やはりどう考えても認知症になる前に、まだ健全な頭脳でいるうちに最も信頼できる人物に後見を依頼しておくことです。
任意後見契約を結んでおくことなのです。
快適な老後を過ごすために情報収集力を身につけておきましょう
私はこのブログ記事の冒頭で、2025年には65歳以上の高齢者のうち約5人に1人が認知症を発症する見込みであるということを申し上げました。
非常に恐ろしいことです。 底知れぬ恐怖感を感じざるを得ません。
でも怖いと思うことだけで終わりにはしないでください。
・今現在、認知症の研究はどれくらい進んでいるのか?
・認知症を予防するには何が有効なのか?
・そのために自分はどのような行動をとればいいのか?
といったことについて常に「知りたい」という気持ちを持ち続けていただきたい
のです。
そのためには常に「情報収集力」を磨いておくことが非常に大事なことになると
思います。
情報とはテレビや新聞、本や雑誌などのマスメディア、そしてインターネットなどの情報や口コミあるいは自治体が発行する広報誌など、媒体はどのようなものでも結構ですので、自分の老後に役立ちそうな情報をキャッチし収集しておく感覚を研ぎ澄まし、身につけておくようにしていただきたいのです。
そんな気持ちで厚生労働省のホームページにたどり着くと、冒頭に述べたように、認知症を予防する「新オレンジプラン」という取り組みが国を挙げて行われつつある現状が分かってきます。
また認知症サポーターや認知症カフェといった取り組みもあることが分かってくると思います。
最後に
不安に感じている事柄を避けたり、むやみに恐れたりするのではなく、あえて意識をそちらに向けるようにしていけば、認知症の予防や早期発見に役立つ情報が入ってきます。 それが10年後20年後のあなたの運命を変えるかもしれないのです。
また、新しい情報を得ようという意識そのものがあなた自身を若々しく聡明に保つのに大きな役割を果たしてくれるはずです。
情報収集を欠かさなければ、きっと認知症の恐怖に打ち勝つことができるでしょう。 私はそう信じて日々実践しています。
あなたも「人生100年時代」を賢く生きる「聡明な老人」になってみませんか。
※長文にもかかわらず、ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございました。
( 執筆人: ファイナンシャルプランナー CFP & 行政書士 FPユウ )
認知症対策にも有益! 財産を守る”任意後見制度”を活用してみましょう
終わり