認知症に備える認知症保険と 認知症高齢者のための損害保険の上手な加入の仕方

はじめに

人生100年時代 がやってくる

「人生100年時代」という言葉を最近よく耳にすると思います。

多くの日本人が100歳まで生きることが可能とされる時代を迎えつつあります。

それはつまり個人の人生設計も社会の仕組みも大きな変革を迫られる 時代を迎えたということです。

誰もが100歳まで生きることが当たり前となる時代に備え、私たちは長生きに対する準備を求められることになります。

その一つが認知症に備えることです。

現在日本では高齢化を背景に認知症患者が増加し続けています。
認知症を患うことで保有財産が詐欺被害にあったり、他人に迷惑をかけて損害賠償を請求されたりする例も目立ち、生命保険や損害保険の分野ではこうしたリスクに対応する商品が次々と登場しています。

ここでは高齢者やその家族が認知症に備える保険を上手に使いこなすために知っておくべきポイントを探ってみました。

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認知症に備える生命保険 「認知症保険」が加入者を増やしています

厚生労働省の統計によれば認知症患者は2012の時点で推定約460万人で、65歳以上の高齢者のおよそ7人に1人でしたが、2016年現在では約520万人と、急激に増え続けており、今後もさらに増え続けて2025年には推定で約730万人と、実に
高齢者の5人に1人が認知症になると推測されています。

これだけ認知症患者の数が増えていくと、たとえ今は認知症ではなくともこれから記憶力と判断能力が低下して認知症に進む可能性が高い高齢者が数多くいるものと推定されます。

認知症になると一旦獲得した知的機能が低下し続け、複数の認知機能障害が発生するため、社会生活を送ることが難しくなってきます

はっきり申し上げて悲惨という言葉で言い表すことしか出来ません。

実際ファイナンシャルプランナーである筆者のもとには、「遠くに離れて暮らす
高齢の両親の事が心配で、振込詐欺と思われる電話もよくかかってきていることから、何か認知症になった場合に備えるいい方法はないでしょうか?」というご相談がかなりございます。
そこで今回は、そのような深刻な問題の解決に少しでもお役に立てるように皆様が知っておいて損のない情報をお届け致します。

認知症に特化した生命保険会社の「認知症保険」

認知症患者数の増加を見込んで、認知症に備える金融商品の開発も次々と進んで
きています。

認知症になった時の経済的負担に備える民間生命保険会社の「認知症保険」が加入者を増やしています。

認知症が原因で自分自身が要介護状態と認定されると、一時金や年金などの形で保険金を受け取ることができる仕組みです。

メットライフ生命保険2017年、認知症と診断された時点で「認知症一時金」
支払う、業界初の終身医療保険商品の取り扱いを開始しました。
従来ですと認知症と診断されてから数ヶ月経たないと一時金を受け取れなかったのですが、今回から医者が認知症と診断した時点で受け取ることができるようになりました。

このように認知症を支える保険は続々と誕生しているのです。

生命保険会社の代表的な2つの認知症保険


「認知症保険」2016年太陽生命保険朝日生命保険の2社から日本で初めて発売されました。

日本の生命保険会社というのは各社とも、介護が必要になった時に備える介護保険商品を用意しています。

認知症保険もその一種で主に認知症に特化したものです。

太陽生命ひまわり認知症予防保険」※2018年新発売

認知症保険のパイオニア的存在である太陽生命保険の「ひまわり認知症予防保険」 では認知症と診断された時点で、最高で一時給付金として100万円が支払われます。( 認知症診断保険金 )

さらに加入1年後から2年ごとに「予防給付金」3万円 (一律) が受け取れるので、MCI (軽度認知障害) 発症リスクの検査や様々な認知症予防のために活用できます。

「ひまわり認知症予防保険」では持病があっても入りやすい緩和型医療保険をベースに認知症の保障が付加されていますので、保険加入時に必要な告知は現在の健康状態などについての簡単なチェックだけで、骨折などをした場合にも保険金が支払われます。

また70歳以上の保険加入者を年一回担当者が訪問して色々な支援をするという、「ベストシニアサービス」も行なっています。

※ 太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」についての詳しいことはこちら

朝日生命保険「あんしん介護 認知症保険」

もう一つの朝日生命保険の「あんしん介護 認知症保険」は認知症保障のみに特化した保険で、一時金方式年金方式で保険金を受け取ることができます。

一時金タイプですと介護一時金として300万円が支給され、受け取り後は契約は
消滅します。
年金タイプでは所定の介護状態が続く限り介護年金として年額60万円が支給され
ます。

こちらの認知症保険は、認知症と診断されて、なおかつ「要介護1以上」の認定を
受けなければならないという要件があります。

要介護1以上になると認知症の診断と関係なくその後の保険料が免除になります。
一時金タイプの場合ですと医療保険がつかない分、保険料は割安になります。

※ 朝日生命保険の「あんしん介護 認知症保険」についての詳しいことはこちら

認知症に特化した保険が登場してきた背景

最近になってこのような認知症に特化した保険が登場してきた背景には、 認知症
介護が認知症でない通常の介護に比べると倍以上にお金がかかるため、その費用を保険によって負担してもらおうと考えたことによるものだと考えられます。


確かに認知症の介護にはお金がかかります。 認知症の人に対して片時も目が離せなくなり、デイサービスやショートステイといった介護サービスの利用が増えることもお金がかかる原因になります。

また親の介護のためにやむを得ず介護離職をざるを得ない状態になってしまった方の場合、収入が無くなるのに介護費用は容赦なく発生するわけですから大変苦労することにもなります。

いずれにしても認知症保険を検討する場合、保険金支払いの対象になる「認知症と認定される要件」が各生命保険会社によって異なるので、加入前によく確認することが大切だと思われます。 
というのは今回紹介した認知症に特化した保険だけではなく、一般的な民間生命保険会社の介護保険でも認知症による介護に保険金が支払われる場合があるからです。 それにもちろん公的介護保険もあります。


認知症保険に加入するとき最も重要なことって何ですか?

認知症保険というのは 実際に保険金を受け取る手続きをする時、手続きをする本人は既に認知症になってしまっているという特徴があります。

ですから認知症保険に加入したら、自分が生命保険会社と認知症保険の加入契約をした事を必ず家族に話して契約内容を家族に説明しておいてください。
これが後々非常に大事なことになってきます。

認知症リスクに対応する損害保険にはどんなものがありますか?

損害保険の分野でも認知症リスクに対応する新しい保険を発売する動きが出てきています。

例えば東京海上日動火災保険では 2017年、施設で預かっていた認知症患者が行方不明になった場合の捜索費や徘徊中の事故を補償する保険商品の加入対象を、認知症患者を預かる小規模な介護事業者にも広げています。

認知症高齢者による損害を補償するための「個人賠償責任保険」

通常は他人に損害を与えたら、その加害者は法律上の責任を負います。

でもその加害者が認知症などで責任能力がなければ、本人に責任が生じることはありません。

ただしこのような場合には本人の親族などの監督義務者が責任を問われることになります。

従って親が認知症などのとき、認知症高齢者が引き起こした事故などの損害については、子が親の監督義務を負っている場合が多いので、子は監督義務者として自身が損害賠償責任を問われることになりかねないのです。

このような認知症高齢者による賠償責任リスクに対応するために、最近では自動車保険や火災保険等に特約として付帯することのできる「個人賠償責任保険」に加入して、もし認知症高齢者が事故等で損害を与えた場合であっても、監督義務者が本人に代わって損害賠償責任を負い、補償金を支払う事のできるように保険でカバーしようと考える人が増えてきました。

最高裁判決がきっかけとなって「個人賠償責任保険」が注目された

実はこの個人賠償責任保険がクローズアップされるきっかけとなった、ある鉄道事故による訴訟とその裁判の結果が話題となっているのです。

最高裁判所2016年3月判決を言い渡した事案があります。
それは2007に愛知県内で認知症の男性(当時91歳)が鉄道敷地内に侵入して徘徊中に電車にはねられて死亡し、鉄道会社に相当の損害を与えたとしてJR東海振替輸送費など約720万円の損害賠償を認知症男性の妻と長男に求めた訴訟で、最高裁は両者には監督義務はないとしてこの請求を棄却したのです。


でもこの事故では確かに遺族に賠償責任はないとされましたが、別の事案によっては家族に監督義務があると判断される可能性もあり得ますので、結局のところ認知症高齢者による事故については、その親族は監督義務者としての賠償責任のリスクを負うことになる場合も十分にあり得ると考えて、賠償責任保険に加入しておいた方が良いと考えるようになっていったのです。

そのようなわけで、2016年の最高裁判決をきっかけにして、「認知症の高齢者
よる事故などの損害賠償に備える「個人賠償責任保険」に関心が集まってきたという訳なのです。

「個人賠償責任保険」 被保険者の範囲の拡大

大手損害保険各社は今回の訴訟を受け、個人賠償責任保険でカバーされる補償対象の拡大に乗り出してきています。 
個人賠償責任保険の従来の補償対象である同居の親族や別居している未婚の子に加えて、別居している既婚の子や本人の後見人などにも、賠償責任が及んだ場合には補償されるよう範囲を広げています。

今回の判決のように本人や配偶者等に責任能力がない場合であっても、監督義務者の範囲を広げて、例えばその者の「親権者」「別居の既婚の子」などを加えるようにしたことで、認知症高齢者の法的監督義務者を補償の対象に加えて行くように商品改良されていることに注目していただきたいと思います。
補償の漏れが出ないようにしているのです。

「個人賠償責任保険」で補償される賠償事故の拡大

個人賠償責任保険で補償の対象となる賠償事故は従来、対人事故、つまり人を死傷させたことによる賠償と、対物事故、つまり物を壊したことによる賠償の2つに限られていました。

ところが、例えば前述のJR東海の賠償事案では列車遅延等による費用損害賠償請求の対象となっており、従来の個人賠償責任保険ではそもそも補償の対象とはならなかったものなのです。

このような事案に対応するため、最近一部の損害保険会社では線路内立ち入り事故による費用損害賠償を補償の対象とする改定を行っています。

個人賠償責任保険があれば生活上の偶発的な事故で他人に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った時にも賠償金や裁判費用をカバーすることができます。 

「個人賠償責任保険」は単独で入ることはできず、必ず火災保険や自動車保険、共済などの特約としてセットで入らなければなりません。

特約の保険料は月額120円から180円と比較的お手頃で年間1500円から2000円程度と安上がりになっています。

それに比べて補償額の方は比較的大きく、大手の損害保険会社ですと国内で無制限の補償 (海外では1億円)、カード会社のカードに付帯するものだと1億円というものが多くなっています。

契約者本人だけではなく、民法上の責任能力のない未成年認知症の高齢者などを含めた、家族が起こした事故もそのほとんどが補償されるというのが特徴です。

個人賠償責任保険への加入を検討するときは、どんな補償内容なのか、また高額賠償に対応できるだけの補償額を設定しているのかなど確認しておかれた方がいいでしょう。
家庭環境や生活スタイルに合わせ補償の内容や支払対象についてもチェックしておかれた方がいいでしょう。

「個人賠償責任保険」認知症ドライバーの自動車事故には使えない

今回私は、認知症高齢者による事故であっても「個人賠償責任保険」に加入して
損害賠償責任の補償に備えることにより、ある程度までカバーできるようになってきたと申し上げてきましたが、最後にこれだけはどうしても言っておきたい大変
重要なことがございます。

それは誤解していただきたくないのは、事故といっても認知症を患った高齢ドライバーによる自動車交通事故に関しては個人賠償責任保険」の補償の適用外であるということです。
従って認知症高齢ドライバーによる死亡事故などはあくまでも個人賠償責任保険ではなく自賠責保険など自動車保険の範囲内で補償していただくことになりますのでその点はご留意ください。

ただし任意の自動車保険では認知症を患った高齢者ドライバーが事故を起こした
場合、責任無能力者とされ自動車保険からの支払いが行われないか、賠償保険金が減額される可能性があります。

この場合は認知症高齢者の監督義務者であるその親族や後見人等に損害賠償請求が行われる可能性がありますので十分ご注意ください。
 

いずれにせよ認知症高齢者の人は絶対に自動車の運転を行わないように最大限の
配慮をすべきことは言うまでもないことです。

最新情報 認知症患者向け新型認知症患者対象保険が発売されます。

東京海上日動火災保険2018年10月から、業界初の認知症患者並びにその家族を対象にした新しい認知症専用保険「認知症あんしんプラン」を販売することになりました。 
この保険は認知症の人が事故を起こすなどして損害賠償を求められたり、徘徊などで行方不明になったとき捜索費用がかさんだりした場合に備えて、家族が契約する保険です。

新商品の保険料は月額1,300円としており、例えば認知症の人が鉄道の線路内に立ち入って電車にはねられ、家族が鉄道会社から遅延損害金を請求された場合などに
1事故につき最大1億円の個人賠償責任補償による保険金が支払われることになります。

また徘徊して行方不明になってから24時間を過ぎても見つからない場合には、介護事業者などに捜索を依頼する費用として1件につき最大30万円、保険期間を通じて100万円を上限として保険金が支払われます。

すでに認知機能の低下した人を対象とする保険は業界初で極めて珍しく、認知症の確定診断を受けていなくても契約することができるというものです。

まとめ

冒頭に述べたように、認知症高齢者は今後ますます増加していくことが予想されます。  認知症高齢者が増えれば治療や介護に必要な医療費も増え、身の回りの世話をする家族の負担も増えてきます。 

こんな時は保険会社の保険商品をうまく活用し 、認知症に関する費用負担をより
軽くする方法
を考えてみてください。

認知症に備える認知症保険と 認知症高齢者のための損害保険の上手な加入の仕方
終わり

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