令和「高齢者受難の時代」だからこそ “金融リテラシー” で知識武装せよ!

令和「高齢者受難の時代」だからこそ “金融リテラシー” で知識武装せよ !

[2019年10月 加筆修正 表題変更 最新版]

はじめに

元号が変わって「令和時代」になったばかりだというのに、今の高齢者・シニア世代が置かれている立場は、あらゆる面で「高齢者受難の時代」を象徴しているのではないかと感じられることが多いと思います。

何が受難なのか? それは高齢者が様々な形で社会の重荷 = お荷物厄介者になっている現状があるということなのです。

例えば、真っ先に頭に浮かぶのが最近特に社会問題化されている高齢ドライバーによる暴走事故」問題です。 

車を運転すれば高速道路を逆走したり、アクセルとブレーキを踏み間違えて歩行者を撥ねたり店舗に突っ込んだりして大事故を起こします。

そして世間から「早く免許を返納しないからこんなことになるんだ。
老人は運転なんか止めろ」と厳しい非難を浴びています。

かと思えば、家では50代になった “引きこもり” の息子が80代の親の年金を頼って部屋に引きこもり、親への家庭内暴力事件を起こしたり、外に出て何かの犯罪を犯したり、あるいは耐えられなくなった親が子どもを手にかけて死なせるというような悲劇も起こっています。
( 中高年ひきこもり問題  8050問題 )

今やそのようなところまで親子ともども追い詰められているのです。 

また、高齢者が客の立場で小売業や流通業の店員や従業員たちに対して執拗なクレームや暴言、無理難題を突きつける悪質な行為、いわゆるカスタマーハラスメント (カスハラ) を行う、通称「暴言老人・暴走老人」が増えているということも問題です。
高齢者でカスタマーハラスメントを行う人たちは「シルバークレイマー」と呼ばれて社会からの嫌われ者になっています。 

ただ残念なことに、このようなシルバークレーマーの人たちは、自分がカスハラ行為を行っていることに気が付いていないということが多いのです。

また高齢者が犯罪の被害者になる場合もあります。

昔から多いのがオレオレ詐欺 = 特殊詐欺などの詐欺被害者になることです。
もう何年も前から気をつけるようにマスコミなどを通じて言われているにも関わらず、依然として高齢者が被害に遭う件数が減ることはありません。
もちろん詐欺師がずる賢くなり犯罪が巧妙化しているということもありますが、それにしても高齢者はなぜ何度も同じような被害に遭うのか非常に不思議で嘆かわしく、残念でなりません。

他の高齢者が被害にあったことを反面教師にして、その手口を覚えておき、明日は我が身に降りかかるかも知れないと予防線を張っておくことは決して難しくはないと思うのですが、やはり認知能力や判断能力が低くなってしまうと難しいことなのでしょうか?

長寿を祝う社会 そんな時代の終焉が近づきつつある


ご覧のように、高齢者はある時は社会の問題児であり、ある時は加害者であり、またある時は被害者でもあります。

こうして高齢者が様々な形で社会の重荷になってしまっている現状があります。

高齢者人口の著しい増加がこの国の社会全般に様々な物理的変化をもたらしている現在では、高齢者を取り巻く社会の眼そのものが変わっていくのは避けられないことなのかも知れません。

私たち日本人は世界有数の長寿社会を迎えています。 かつての日本では長生きすることはめでたいものとして崇めてきましたが、それが今では根底から変わり始めているのかも知れません。

ネットリテラシーがないのに分かったふりをしてコンピューターを使う高齢者

金融リテラシーがないのに知ったかぶりをして金融詐欺商品を買わされる高齢者

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目次

 ネットリテラシーと金融リテラシーが不足している高齢者

ネットリテラシー不足問題

そして最初に問題提起したいのが、高齢者にネットリテラシーが不足しているという問題です。

「ネットリテラシー」とは情報ネットワークを正しく利用することができる能力のことです。

インターネットを正しく使いこなすための知識や経験や能力、それがネットリテラシーです。

ネットリテラシーが不足している人のことを情報弱者 (情弱) と言います。 

ネット上の情報の正確性を正しく読み取り、情報の取捨選択や適切な対応ができること、ネット上のニュースの信憑性を正しく素早く判断すること、電子商取引に正しく対処できること、利用料金や利用時間に配慮できること、プライバシー保護やセキュリティ対策を講じられることなどを指します。

残念ながら高齢者の方たちにはこのネットリテラシーが相当不足しているのです。

ネットリテラシーが不足したままインターネットや SNSなどを利用していると、不適切な プライバシーの公開や個人情報の流出、著作権や肖像権の侵害、コンピュータウイルス感染による迷惑メールの送付行為など、自らが被害を受けるだけでなく、故意でなくとも加害者になる可能性があります。
さらに不正アクセスによるなりすまし、サイバー犯罪への加担など、モラルに反する行動や違法行為へとエスカレートすることもあります。

またネットショッピングを通じた過剰な消費行動、オンラインゲームへの依存など、生活の破綻につながるケースも指摘されています。

 (以上、日本大百科全書解説からの引用) 

金融リテラシーが高いのに何故か騙されてしまう高齢者

私たちがしっかりとした生活基盤を持って生活していくためには、お金を上手に管理したり、注意深く上手に使ったりすることが重要です。

そのためにはお金について十分な知識を持ち、お金との付き合い方について適切に判断する力が必要です。 

このような、お金に関わる金融や経済に関する知識や判断力のことを「金融リテラシー」といいます 。

世の中は様々な金融商品投資商品で満ち溢れています。

しかし中には顧客の財産を食いつぶし、損ばかりさせてしまう駄目な金融商品や、実体のない投資話を持ちかける悪質な投資詐欺を行う輩も多く、被害が後を絶ちません。

そうしたトラブルを避け、私たちが経済的に自立し、しっかりと生きていくためにも「経済リテラシー」は欠かすことができないものなのです。

「金融リテラシー」とは、金融に関する情報や知識を単に学ぶだけではなく、そこで与えられたものを批判的に見ながら、自己の金融に対する学習を経験として重ねていくことで、金融の情報や知識を主体的に読み解くことができるようになることを指します。

逆に言えば、金融リテラシーを身につけておけば全般的にお金に対する不安は少なくなり、投資をしようとするときにも速やかに行動することができるようになります。チャンスを広げることができるのです。

金融リテラシーってどんな能力?

金融リテラシーがどのようなものかが少しはわかっていただけたところで、私たち個人が日常生活で必要とする金融リテラシーについて、どのような能力をいうのかを見ていきたいと思います。

金融リテラシーとは、まず第一に金融の役割について、直感的に理解できる能力のことです。 さらに、金融の基本的な理論、特にリスクとリターンの関係について理解する能力のことをいいます。

また、個別の金融商品について情報を正しく入手できる能力のことであり、その入手した情報の中からさらにコストとリスクを見抜く力を持つことであり、さらにリターンを計量する能力のことでもあります。

このように、正しい金融リテラシーを身につけて金融資産を運用している人は、その多くがしっかりとしたリターン (利益) を得ているのに対し、誤った知識で運用をしている人の多くは金額の差こそあれかなりの確率で損失を出しているという結果が統計的にも証明されているのです。 

したがって私たちは、自分たちの貯蓄年金を含めた資産の自衛のためにも、しっかりと金融リテラシーを身につけ、リスク資産を取りながらも、リターンもまたコントロールしていく必要があります。 

 

なぜ日本人の金融リテラシーは低いの?

なぜ平均的な日本人は金融リテラシーが低いのでしょうか?

別の言い方をすると、日本人が金融知識で儲けることにあまり興味がなかったのはなぜなのでしょうか?

それには次の二つが大きな理由だと考えられます。これは他の先進国と比較するとその差が際立っていますのでよくわかります。 

①学校教育および家庭内教育で金融教育が軽視され、習う機会がほとんどなかったこと

②社会人になると毎日仕事で忙しく、金融リテラシーを磨く暇がなかったこと

については、日本では「お金の事を堂々と話すことははしたない行為である」
あるいは「汗水たらして働いて稼いだお金の方が、金融の運用つまり投資で稼いだお金よりも尊い」といった、日本人特有の古い価値観がその背景にあるためだと考えられています。

だから学校の教育現場で学ぼうとしないのです。 

 

 日本人の大多数は「自分は金融や経済あるいは金融商品についてほとんど知識がない」と思っている人が多く、「株式や債券などのリスク資産への投資について自信がある」と考えている人たちはわずかしかおりません。
もちろん後に仕事として金融機関に勤務し、知識を積み上げた人たちや自分で投資について勉強した人は除きます。

つまり、なぜ私たちはこんなにも金融に対して自信がないのかというと、その理由として、私たちは金融について、高校までの学校教育を通してほとんど学ぶ機会がなかったという単純なことに尽きると思われるのです。 

次にについては、私たち日本人が社会人になって金融を勉強し、それを実際に運用するところまで達するにはあまりにも仕事が忙しすぎるということです。 
なぜなら、金融リテラシーを身につけるにはある程度の勉強と、それについて考えることが必要になります。そのためにはどちらも時間がかかります。
ところが忙しすぎると勉強したり考えたりするのが面倒になり、目の前にある自分の今の仕事のための勉強や理解が優先されてしまいます。

そしてこの忙しさ、すなわち長時間労働が家事・育児時間の短さ、そして少子化につながっているのです。

私たちは働きすぎているために自由時間が少なく、金融を勉強する時間も少ないためにどんどん金融に疎くなってゆき、その結果、結局金融リテラシーが身につかないままに年をとっていくのです。

ところがある調査によると、比較的年齢が高く、年収や金融資産の金額が多い人ほど「金融リテラシー」が高いということを言っているところもあるのです。
平均的日本人の金融リテラシーが低いこととは正反対のようです。
これはいったいどうしたことでしょうか?

高齢者が難解な金融商品でも『よく理解できた』と言ってしまう理由とは

つい最近「かんぽ生命」による不適切な保険契約の乗り換え問題が発生していたことが発覚しましたね。

この問題の被害者の大半は高齢者の方たちです。

高齢者の方たちには、郵政民営化される前の郵便局の時代から簡易保険を扱っていた郵便局のイメージが強くあり、まさか郵便職員が不正を働くとは夢にも思わなかったことでしょう。

ここにも金融リテラシー」が不足した高齢者特有の事情があります。

それは見栄や無知に対する羞恥心から、商品説明の際に、理解できていなくても

『よくわかりました』とつい言ってしまいがちなことです。

長年大手企業などに勤務してきたシニアの方などは特に非常にプライドが高く、「こんなことも知らないのか」と、自分よりもはるかに年下の営業マンに侮られたくないために、つい知ったかぶりをしてしまうのです。  

このような気持ちになることは理解できますが、とかく金融商品に関してはどれ

だけ説明されても理解できないと感じたら素直に「分からないので今回は遠慮す

る」と、はっきりと毅然とした態度で伝えるべきであったのではないかと思われ

ます。 

特に定年退職直後の [高齢前期] の方たちは、金融機関の営業マンらに騙されない

「金融リテラシー」を持つことが大事です。 

さあ、「金融リテラシー」を身につけて知識武装しておきましょう ! 

私たちが最低限身につけておかなければならない「金融リテラシー」

◯自分や家族の生活設計 (ライフプラン) を明確にすること

○金融商品を選ぶ際は契約書をよく読み、相手方や日付、金額、支払条件などが明記されているかどうか、また不明な点があればすぐ確認するなどの習慣を身につけることが金融取引の基本であることを覚えておくようすること

◯情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できるかどうかを必ず確認すること

◯金融と経済に関する基礎知識 ( 金利、インフレ、デフレ、外国為替、為替リスク、リターンなど) や金融経済情勢に応じた金融商品の選択について理解すること

◯金融取引の実質的なコスト (販売手数料や信託報酬など) を必ず確認すること

◯保険商品を買う場合は、自分にとって保険でカバーしたいものや事態が何なのかを考えること (死亡、病気、失業、長生き、火災、地震など)

◯投資商品を買う場合、高いリターンを得ようとすると、より高いリスクを伴うことを理解すること。
また、分散投資の効果や長期運用の効果も理解すること。 

最後に

いずれにせよ、高齢者の金融リテラシー不足による金融商品詐欺被害問題も、結局は長寿であることが決しておめでたいことではなくなりつつあるということであり、そんな社会がすでに到来していることを端的に表すものではないかと思っています。

これが一つの文明の行き着いた姿であるとすれば、私たちはこの超高齢社会をできるだけ穏やかに持続させる方法をみんなで考えていくしかないのではないかと考えています。 

一方で高齢者の方たちも社会と共生する方法を自ら考えながら生きていくのは当然ではないでしょうか。
粛々と生き長らえている時代はもう終わりかけているのではないでしょうか。

いや、漫然と長寿に安住していられる時代は多分もう終わってしまったのかも知れません。

私はそう思うのですが、皆さんはいかが思われますか?

 

令和「高齢者受難の時代」だからこそ “金融リテラシー” で知識武装せよ !

終わり

 

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