増え続ける「空き家」問題を解決する最善の方法とは何か?
[2019年3月 追加記述補正 最新版]
はじめに
今回のテーマは空き家の「有効活用」の話です。
親が亡くなったことにより引き継がれた実家の家と土地は子供の世代にとっては
最大の「遺品」となります。
引き継がれたその家は自分の手に余り、放置されるケースも珍しくはなくなって
きました。 近年話題の「空き家問題」として大きな社会問題になっています。
私たちはこの増え続ける空き家問題をどうにかして解決していかなくてはなりま
せん。
目次
「問題空き家」にしないために 私たちは何をなすべきか
FP へのよくあるご相談事例
『 両親が亡くなり実家の家を相続しましたが、当面そこに居住するつもりはありません。 空き家になりそうで困っています。
最近話題になっている「問題空き家」にはしたくないのでどのようにしたらいいのか一番良い方法を教えてください 』
このようなご相談が最近特に増えてきております。
もしかしたらこのブログをお読みになっているあなたも空き家のことでお悩みではないでしょうか?
相続などで土地や家屋を引き継ぐ人が増えています。
国税庁がまとめた2016年分の相続税の申告状況によると、相続財産のうち土地と
家屋を合わせた不動産が全体の43.5%を占めていました。
今自分の住んでいる居住地以外に親から相続した家や建物があり、遺産として相続したが、今のところ利用する予定がないためやむを得ずそのままにしてあるというケースも多いのではないでしょうか。
でもこのまま放置され続けると治安上の不安も発生しますし、需要がなくて売却や賃貸ができないなど、本当に負の遺産 ゛負動産 ゛になってしまう恐れもあります。
人口減少・核家族化などで問題空き家予備軍が増加中
空き家の現状
総務省の平成25年住宅土地統計調査によれば、2013年時点での空き家の数は全国で820万戸あり、空き家率は13.5%と過去最高を記録しましたが、民間シンクタンクの予想では空き家率は2023年に21.1%、2033年には30.4%にもなり空き家の数も2,000万戸を超えるとの試算もあります。
空き家の使い道 その6つの方法
相続した実家の空き家の使い道については 主に
1 そのまま保有し続けて何もしない
2 自分 (家族または親族) が住む
3 貸す (リフォームして賃貸用物件とする)
4 売却する (空家建物を土地と一緒に売却する)
5 空き家を解体して更地にして有効活用する
6 維持管理だけを行う の6つの方法があります。
◎6つの方法の問題点
1 そのまま保有し続けて何もしない
このうち特に問題になるのが、親の死後空き家になったにも関わらず買い手や借り手を募集しているわけでもなく、そのまま置かれている状態の「そのまま何もせず保有している」空き家です。
このような空き家は住まなくても維持管理を行っていれば問題はないのですが、放置期間が長引くと倒壊したり不審者が侵入したり放火やゴミの不法投棄などの危険性が増すなど、周囲に悪い影響を及ぼし「問題空き家」となってしまうのです。 そのまま放置しておくことだけは絶対にお止めください。
家というのは人が住まなくなり、換気などをしないと、どんどん傷んでゆき、売ることも貸すこともできなくなってしまうのです。
特に都市部では住宅が密集しているため、問題空き家が一軒でもあると近隣への悪影響が大変大きくなるという問題があります。
3 貸す (リフォームして賃貸用物件とする)
「貸す」については、必ず事前にリフォーム工事が必要になります。
一般的には床・壁・天井について約150万円、キッチン・トイレ・風呂の取り換えにも約150万円、総額約300万円以上の費用がかかります。
ですから、一定額以上の家賃収入がないと採算が取れないことになります。
先行投資を何年で回収できるか、よく計算してから決断すべきかと思われます。
4 売却する (空家建物を土地と一緒に売却する)
提案させていただいた6つの方法の中で、一番のお勧めです。
しかしながら気をつけなければならないのは、必ず「空き家になったその瞬間に売る」ということが大切であるということです。
たとえ今売るにはちょっと安いのではないかと思ったとしても、今後時間が経てば今より高く売れるようになるという可能性は極めて低いと考えられます。
ですから、空き家になった瞬間の今現在の価値が最も高いと考えておいたほうがよろしいかと思います。
空いている期間が長いほど建物が傷みますので、売るのが難しくなるのです。
6 維持管理だけを行う
空き家管理サービスの業者を使って、郵便ポストの整理や換気 (通風) などを定期的に行ってもらいます。 管理費用は毎月数千円程度からあるようです。
しかし、毎月管理費を払って、さらに固定資産税もかかってきます。
ですから、このサービスを利用する人は将来的にここに住む予定のある、自分か親族に限られることになりますので、自分が住まないのであればあまりお勧めできない方法です。
維持管理だけをしていても、出費だけが嵩んで何も実入りがないからです。
将来問題となりそうな空き家が増加している背景には、
1 人口減少、核家族化が進み親世代の空き家を子どもが引き継がない
2 本来売却したり賃貸することが望ましいが、家の質や立地面で問題のある
物件は市場性に乏しい
3 売却・賃貸ができない場合、撤去されるべきだが、更地にすると固定資産税
が上がるためそのまま放置しておいた方が有利である
などの理由があります。
国 (国土交通省) も「使える空き家は利用し、使えない空き家は取り除くのが国家の基本方針です。親の家を相続したらなるべく早く判断してほしい」としています。
つまり「空き家」は利用するか、利用せずにそのままにするか、売却するかの三通りしか方法はないということなのです。
利用するというのは、自分で住むか、人に貸すかの2つの方法であり、そのまま放置するという方法はありえません。
解体するという場合
空き家を解体する際の税の優遇措置も整備されてきました。
2016年度の税制改正で、親などから相続した旧耐震基準の空き家を解体し、その後土地などを売却した場合、譲渡所得から最大で3.000万円を差し引けるようにようになりました。
また解体費用の一部を補助金として支給する自治体も数多くあります。
支給には様々な条件がありますので各自治体のホームページなどで補助金の有無や条件を確認していただきたいと思います。
空き家の有効利用 その1 「空き家バンク」全国版を活用する
空き家の有効活用については地方を中心に早くから「空き家バンク」が設置されてきました。
「空き家バンク」とは自治体がWeb上で物件情報を公開し、仲介するものです。 空き家の所有者に築年数や間取りなどの物件情報を登録してもらい、購入や賃貸を希望する人がネット上で情報を検索する仕組みです。
これまでは空き家の購入や賃貸を希望する人に対し空き家を紹介するサービスを各自治体が「空き家バンク」として個別に運営していました。
しかし物件数が少なかったり広いエリアでの検索ができなかったりするなど、使い勝手が悪かったため、国土交通省から委託された大手の不動産情報サービス会社LIFULL(ライフル)が全国の空き家情報をまとめて一元化し、インターネットで検索できるサービスを2017年9月から開始しています。
いわば空き家バンクの全国版で、空き家情報を統一して利用者が検索しやすくすることで空き家の活用を支援する狙いがあります。
全国版の新サービスでは表示形式や掲載項目を統一したり、写真や地図などを添付したりして利用者が希望の物件を探しやすくしています。
また多くの自治体が加盟する「全国空き家バンク推進機構」と連携して掲載件数を増やしています。
空き家の有効活用 その2 空き家登録制度に登録する
賃貸住宅への入居を断られやすい単身高齢者や低所得者向けに、空き家や空き部屋を活用する新たな制度が2017年10月からから始まっています。
空き家の所有者に物件を登録してもらい、自治体が改修費用や家賃の一部を補助するなどして、いわゆる「住宅弱者」のための住まい確保につなげるのが狙いです。
新たな制度は2017年4月に成立した「改正住宅セーフティーネット法」に基づき、空き家などの所有者が賃貸住宅として使用可能であることを都道府県や政令市などに届け出るようにしたものです。
改正住宅セーフティーネット法には高齢者や所得の低い子育て世帯向けの賃貸住宅として空き家・空き室を活用してもらうために、登録して情報提供する制度の創設を盛り込んでいます。
この空き家登録制度は高齢者らの入居を拒否しないことなどを条件としており、各都道府県は登録物件の情報を入居希望者に広く周知しなければなりません。
高齢者らが暮らしやすいように耐震改修やバリアフリー化することを想定しておりその費用として最大200万円を助成するほか、低所得世帯の家賃補助として月額最大4万円を補助する仕組みも設けています。
このほか入居者のアフターケアとして高齢者らの見守りなど、必要な福祉サービスにつなげる役割を担う社会福祉法人や NPOを「 居住支援法人」に指定して、物件探しや入居者とのマッチングも行っています。
こうして大家が安心して高齢者や低所得者にも部屋を貸すことのできる環境が整えられてきているのです。
空き家の有効活用 その3 リノベーションとシェアハウス 民泊
リノベーション
空き家の中でも立地条件や状態の良い物件を発掘して仲介したり、リフォームした上で再販したりするビジネスも登場しています。
いわゆる「リノベーション」と呼ばれるものです。
中古住宅をリフォームして再販するビジネスはすでに都市部の中古マンションでは十分確立されており、戸建はまだこれからという状況ですが、最近では取り組む業者も増えてきています。
シェアハウス
戸建ての空き家では一軒まるごとでは買い手がつきにくいので、部屋貸しする形態ならば家賃が安く借り手がつきやすくなるため、シェアハウスに改修するという選択肢もあり得ます。
分譲マンションの空き家や社宅などもシェアハウスとして活用された例があります
民泊
今年2018年6月、自分の所有する空き家や空き室を届出することによって宿泊施設として活用することのできる、いわゆる「民泊」を解禁する動きが出てきました。
根拠となる法律が「住宅宿泊事業法」( 民泊新法 )です。
そこで、全国に点在する使われていない空き家のうち特に「古民家」を民泊施設として転用しようとする業者も現れてきました。古民家は大人数で泊まりやすいし、訪日観光客の受け入れ先として申し分のない役割を果たすことになると考えられているからです。
なお「家を貸す人」には、家主が滞在したまま空き部屋を貸す「ホームステイ型」と、家主が日常家にいない「不在型」の二つに分かれます。
そこで特にトラブルの起きやすい「不在型」の家主は、鍵の管理や名簿の管理、清掃や宿泊者へのマナーの説明など、トラブル対応も含めて「住宅宿泊管理業者」に委託する決まりになりました。
この他に、正確には有効活用ではないのですが、空き家を保有し続けたいと考えている人たちに向けて不動産管理会社による「空き家管理代行サービス」というのも出てきました。
空き家の所有者から依頼を受けて空き家の通気や通水、庭の除草や屋内清掃などを行うサービスです。 地域の不動産業者や警備会社のほか最近では大手の不動産業者も参入してきています。
※このブログサイトでは以前にも 増え続ける「空き家」について問題点を提起した記事を
書いております。よろしければ合わせてお読みになって下さい。
最後に
今までお読みいただいてお分かりのように、空き家を有効活用する方法はいくつかあり、所有者の方が自分に合ったやり方を考えて行なっていく必要があるかと思います。
そしてこれ以上問題空き家が増えないように、空き家を放置することなく有効活用する方法を選んでみてはいかがでしょうか。
増え続ける「空き家」問題を解決する最善の方法とは何か?
空き家を有効活用をする方法が見つかりました!! 終わり