信託の活用法「民事信託」を使って障害を持つ子どもに生活費を残してあげましょう

民事信託の活用法 民事信託を使って障害を持つ子どもに生活費を残しましょう

はじめに

子どもが知的障害を持つ場合親なら誰でも自分が亡くなった後、
誰が子どもの
面倒を見てくれるのだろうかと心配になると思います。

子どもが安心して暮らせるように、財産を残して生活費を確保しておいて
あげることが大事です。 

こんな時には信託制度の一つである「民事信託」を利用してみましょう。

障害のある子どもや自分では財産管理ができない子どもが、親の死後、
どうやって平穏な生活を維持していくか、またそれをどのように支援
していくかという゛親亡き後の問題 ゛ と言われるものがあります。 

このブログをお読みになっているあなたのお知り合いに、実際に知的障害の
お子様をお持ちのご家族はいらっしゃいませんか?

 
お子様が障害をお持ちの場合自分が亡くなった後、誰がお子様の面倒を
見てくれるのだろうか、と心配にならない親はいないと思います。


このような事は決して珍しいことではありません。 
私たちの身近によくある話なのです。 
これは親が生前に解決しておかなくてはいけない大事な問題です。 

しかし現実には大変難しいようなのです。

そこで今回はこの ゛親亡き後の問題 ゛について最も良い解決方法とは
何なのかを探り、それをご紹介したいと思います。

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知的障害を持つ愛する我が子に財産を残したい そんなとき取るべき
最良の方法って何ですか?

かつては障害のある子の親が、自分の死後、支援者に、子の面倒見てもらう代わりに私の財産を全部差し上げますと「遺言」にしたためるということが多かったようです。 
このような内容の「遺言」はかつてはよく作成されていましたが、しかし現在では、この種の「遺言」は道義性や倫理性という観点からいえば不適切なのではないかという考え方が大勢を占めています。

民事信託って何ですか?


こういう時に利用すると良いのが民事信託と言われている制度です。

信託という制度については以前にも述べましたが、

これは財産を有する人 ( 委託者 ) が、信頼できる特定の誰か ( 受託者 ) に財産を
引き渡し、その信託財産から生じる収益を受け取る別の誰か ( 受益者 )に渡して
いく仕組みです。

この信託制度の中でも、受託者家族や親族を指定し、
信託法といわれる法律の規定にのっとり、民事信託契約を結んだものを
「民事信託」または「家族信託」といいます。

ちなみに信託銀行などが行う信託業務を「商事信託」と呼ぶのに対し、

「民事信託 (家族信託) 」は、金融機関を介さない、つまり営利を目的としないものを指し、2007年の信託業法改正によって、こうした「信託」の設定が認められるようになりました。 

民事信託は弾力的な契約の設定が可能なため、従来では難しいとされてきた
相続に関する要望に応えられるものとして、期待が寄せられているのです。

※以前このブログにて書かせていただいた記事はこちらの2つです。
 よろしければ合わせてお読みになってみて下さい。

民事信託 手続きの手順と義務

障害のある子どもを持つ親が「民事信託」をする場合、
まず親が委託者となります。
そして最も信頼できる家族・親族の誰かに受託者になってもらい、
預貯金や賃貸アパートなどの収益の生まれる物件を信託財産として
引き渡します。

利子や賃料収入を障害のある子どもが受け取る契約にしておけば、
将来その子の生活費に充てることができます。
ここでは子どもが受益者となります。

民事信託では「受託者」になると大きく三つの義務を負うことになります。 

一つ目は善良な管理者として注意深く信託財産を管理する義務。 
二つ目は受益者のために忠実に仕事をする義務。 
三つ目は信託財産と受益者自身の財産を分けておく分別管理義務です。

ちなみに信託契約というのは一般的に極めて難解な内容となるため、
どなたか弁護士や司法書士などの法律専門職の方の知識を借りて
信託契約書を作成した方が確実かと思われます。

子どもに金融資産の名義を移転するのはいけないことなのか?

ここまで私のブログをお読みになった方の中には、ちょっとした疑問を
持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
おそらく、「なぜ信託制度のような、信頼できる親族とはいえ第三者を
巻き込むような難しいことをしようとするのか?
親のお金を子供名義の銀行口座に移してしまえばいいではないか」と
考えた方もいらっしゃるかもしれません。

でも、子ども名義にした預貯金捨て金になる可能性があるのです。
捨て金、つまりお金が自分たちの財産として残らないという、
恐ろしいことになりかねないのです。

親亡き後の問題には支援者である親と、支援を受ける子がいるわけですが、
現代の日本では親自身が高齢化し、自らが支援を受ける必要に迫られるという
事例が増えています。 親
自らが支援が必要であると気が付いた時には、もう
手遅れということさえあるのです。 


しかし日本人の気質のせいなのか、多くの場合「自分はどうなってもいいから、
子どもだけは幸せになってほしい」という考えで、自分の金融資産を子ども名義
に移してしまう人は少なくありません。 

特に子供が知的障害者のような場合だとなおさらのことです。

しかし、親のお金を子ども名義の口座に移すことだけは絶対に止めておかれた
ほうがいいと思います。 

なぜかと言いますと、子どもに名義を移してしまうと、親御さんがこのお金を
使おうと思っても手が出せなくなってしまうからです。

しかも一人っ子の場合だと残った財産はほぼ全て国庫に帰属してしまう可能性が
高いのです。
 ではその理由をご説明します。

まず、預け入れ先の金融機関から見る、この預金は名義人本人、つまり子ども
の預金となるために、これを払い戻すには子ども本人またはその代理人でないと
できません。

元々親が所有していた預金ですが、一旦名義を子に変更してしまうと、たとえ
親であってもそのお金を自由に使うことはできなくなってしまうのです。
 

その後親御さんが死亡しますと、お子さん自身には重い知的障害などがあるため、払い戻し手続きなどができませんので、財産を適正に管理するためにやむを得ず、多くの場合お子さんには「成年後見制度」が適用され、家庭裁判所から
法定後見人」が選任されてしまうのです。 

親が残したお金は法定後見人によって全て管理されることになります。

さらには「後見制度支援信託」により信託銀行に預託することもありえます。 

信託銀行に信託された金銭は、例えば、障害を持つ子本人が重い病気をして高額な療養費を支払うときなどに限られ、本人に他に特別な事情がない限り使えなくなるため、ほとんどの金融資産が残ってしまうことになります。

こうして本人の財産・預金等はほとんど残ってしまい、他に相続人がいない
一人っ子のような場合には、最終的に国庫に帰属してしまうのです。
言い方が悪いですが、結局の所、財産を国に取られてしまうということです。

このような理由で、親のお金を子供名義の口座に移すことだけは絶対に止めたほうがいいわけです。 

実際に口座名義を移そうと考えていたなど、お心当たりのある方はどうか気をつけていただきたいと思います。

障害のある子の  ゛親亡き後の問題 ゛について
民事信託のできること

それではどうしたらいいのでしょうか?

障害を持つ子どもに財産を残すのに、一番いい方法は何なのでしょうか?

正解は「民事信託」です。 

本当に障害を持つ子供を助けたいのであれば、゛親亡き後問題の支援信託 ゛
としての性格を持つ「民事信託」を選んで活用してみたら良いと思われます。

民事信託の特徴

民事信託の特徴としては概ね次のことが挙げられます。

1. 信託目的の範囲内で受託者の裁量により信託財産の自由な管理・運用や
 処分が
できること。
2. 委託者が亡くなっても相続手続きなしでスムーズな資産承継が可能であること。

3. 委託者本人 (親) の死亡後も自分の意思を反映させ続けることが可能である
 ということ。

 

民事信託のやり方 例を挙げてみます

ここでいう親亡き後の支援信託の形というのはおおむね次のような形式に
なります。

1. 親御さん、つまり「委託者」と、信託を引き受けてくれる「受託者」との間で
信託契約を取り交わす。

例えば、親が信頼している甥などの親族に「受託者」として財産を信託譲渡し、
最初は親自身を自己の生存中の「受益者」 ( 生活費等の給付を受ける人 ) とし、
障害がある子どもを「死亡後の受益者」とします。 

子どもを「死亡後の受益者」とすることによって、親の考えのとおり、親の死亡後に子どもに対する様々な支援を成すことができるわけです。

2. 信頼できる「受託者」である甥などに親御さんの財産を信託譲渡して、
金銭は銀行に信託口座を設けて移動し分別管理をするようにします。

※ご注意 信託口座とは信託銀行の口座のことではありません。通常の金融機関
(銀行)  に開設することのできる民事信託のための口座のことです。

3. その中から「受益者」である障害を持つ子どもの生活費や医療費、施設利用費
などを支払うと定め、これが生涯継続されるようにするのです。

民事信託では受託者は信託財産を自分の固有財産から切り離して、信託口座
管理する義務があります。ですから分別管理になるのです。

受益者代理人

また信託の受託者が不適切な金銭管理をしないように、任意で、監視・監督
する
仕組みも取り入れるようにするのも良いでしょう。

そのために子どもさんには受益者代理人を指定し、受益者代理人が子ども
さんに代わって信託義務の履行を監視 (チェック) することになります。

「受益者代理人」には、受託者に財産目録を作らせたり、定期的に目録を見せて
もらってチェックする権限があります。

もし受託者に不明瞭な金銭管理があれば受益者代理人は受託者に対して適切な指導を行い、場合によっては受託者を更迭することもできます。

「民事信託」の最大の課題 と 最大の目的

「民事信託」の最大の課題。 それは「受託者」をどう選ぶか、誰を選ぶか
ということに尽きます。 親族といえども、不正や財産の流用を起こさせない
ように、しっかりと見極める必要があります。

ちなみに、弁護士や司法書士のような法律専門職が仕事として「受託者」に
なることは法律で禁止されています。

「民事信託」の最大の目的。 それは、受益者である障害を持つ子どもの
一生涯の幸福な生活と最善の福祉を確保するということだと思います。

 

最後に

今回は、知的障害を持つ子どもに財産を残すという特殊なケースの場合にどのような対策を取ったらよいか について述べさせていただきました。

実際にはこのような事例は決して多くはないと思いますが、知的障害を持つ親に
とっては深刻な問題であることに鑑み、あえてこの問題について記述させていただきました。 

このブログを最後までお読みいただきましてありがとうございました。

「民事信託」制度というものがあるということを、頭の片隅にでも留めておいて
いただければ幸いです。

民事信託を使って障害を持つ子どもに生活費を残してあげましょう 
終わり

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