「認知症」の人のために家族ができること そして絶対にやってはいけないことを提言します

毎年9月世界アルツハイマー月間です。

そして本日9月21日は「国際アルツハイマー病協会」と「世界保健機関 WHO」 が定めた『世界アルツハイマーデー』です。

人生100年時代を迎え、長い人生を充実して過ごしたいと考えていても、気になるのがアルツハイマー病などの認知症です。 

最近の研究では症状が本格化する前から早めに対策に取り組むことの重要性が明らかになっていますが、今回は認知症について改めて知っておきたいことを確認しておきたいと思います。

前半では「認知症の人のために家族ができること 」と題して、家族が気をつけておかなければならない認知症の人への接し方について提言させていただきます。

後半では認知症になってしまった親に対して、他の家族が絶対にやってはいけない行動や言動について特に注意していただきたい点を書いてみました。 

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目次

「認知症」の人のために家族ができること 10の提言

1 「あれ、何かおかしいな」と感じたら、それは大事なサイン

  認知症の始まりはちょっとした物忘れであることが多いものです。
  単なる老化現象と紛らわしく、周囲の人には分かりにくいものです。
  ですが、「あれっ、もしかして?」と気付いてあげることができるのは、
  身近な家族だからこそです。

  大事なサインを決して見逃さないようにしてください。

2  早めに受診をしてください それで治る認知症もあります

  認知症が疑われたら、まず専門医を受診することです。 
  認知症に似た病気や、早く治療すれば治る認知症もあるのです。
  適切な治療や介護を受けるには、きちんと検査をして診断してもらう
  ことが不可欠なことになります。

3  知識は力なり 認知症の正しい種類と症状を勉強しましょう

  アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症、その他の種類とでは、症状の
  出方や
進行、対応が違います。  
  特徴をよく知って、本人と家族が快適に生活できるよう、その後の生活や
  介護計画づくりに役立てましょう。

4  介護保険など公的サービスを積極的に利用しましょう

  認知症になったら、介護保険などの公的サービスを利用するのは当然のこと
  です。 

  家族だけで認知症の人を介護することはできません。   
  公的介護サービスは ”家族の息抜き” ということだけではなく、本人が介護
  専門職のサービスを受けたり、 介護保険サービスという社会の仕組みに接
  したりできる大事な機会です。 

  積極的に利用しましょう。

5  サービスの質を見分ける目を持ちましょう

  介護保険サービスは、利用者や家族が自在に選択することができるのが利点
  です。 
  ですから、質の高いサービスを選ぶ目が必要となります。 

  また、トラブルがあった時は泣き寝入りせず、冷静に判断して対応する姿勢
  を持ちましょう。 相談窓口はいっぱいあります。

6   介護経験者は知恵の宝庫です いつでも気楽に相談してください

  認知症の介護経験者が培ってきた知識や経験は、社会資源のひとつです。
  一人で抱え込まずに経験者に相談し、共感し合い、情報を交換すること
  大きな支えとなります。

 
  また、実際に一足先に認知症になった方たち本人の経験や言葉をまとめた
  ガイド本も出来ています。 参考にしてみましょう。

   厚生労働省が発行した「本人ガイド」のPDFはこちらです

7   今できることを知り、それを大切にしましょう

  認知機能が低下し、進行していくのが多くの認知症の症状です。

  しかし、全てが失われるわけではありません。 
  失われた能力の回復を求めるより、残された能力を大切にしましょう。

8  恥じることなく、隠すことなく、ネットワークを広げましょう

  認知症の人の実態をオープンにすれば、どこかで理解者、協力者が手を
  上げてくれるはずです。 公的な相談機関や私的なつながり、地域社会、
  インターネットなどの様々な情報を上手に使い、介護家族の思いを訴えて
  いきましょう。

9  介護以外の時間を持ちましょう 自分のことも大切にしてください

  介護する者にも自分の生活や生きがいがあるはずです。
  「介護で自分の人生を犠牲にされた」と思わないように、自分自身の時間
  大切にしてください。 介護者の気持ちの安定は、認知症の人にも伝わり、
  影響を与えるものです。

10 認知症になっても人生の終わりではありません
   最期までその人らしい生き方を続けていきましょう

  認知症になってもその人の人生が否定されるわけではありません。

  認知症になったからといって、人生が終わるわけではありません。

  やがて必ずやってくる人生の幕引きのことを考えながら、その人らしい
  生活
を続けられるよう、家族で話し合いましょう。

  認知症の人も家族も、仲間とつながり工夫や知恵を出し、情報で交流すれば
  新しい場面での生きがいや希望も見えてきて、明るく生きるための歩みを進
  めることができます。 
立ち止まらず仲間の中へ一歩を踏み出しましょう。

 

   [ 出典元 : 公益社団法人認知症の人と家族の会 ]

親が認知症になったとき家族が絶対にやってはいけない禁止行動

両親など身近な人が認知症になってしまったとき、ついとってしまう行動や言動が認知症の人を傷つけ、症状を悪化させてしまうことがあります。
どのような行動がダメなのか研究してみたいと思います。

やってはいけないこと 1 細かい指摘や小言を言う → 逆効果になります

認知症の初期段階ではまだ認知機能が保たれており、比較的自分の意思をはっきりと表すことができるので、一人でも日常生活を行うことは十分に可能です。
しかし何事も完璧にこなせるというわけではないのです。 

例えば、認知症になると初期の段階から些細なことで失敗が増えてきます。
問題はそんな時の家族の対応なんです。 

失敗が何度か続くと、ついつい細かく指摘してしまいがちになります。
家族としてはもちろん、きちんとした生活に戻って欲しくて小言を言うわけですが、この行為はむしろ逆効果になると思われます。 

認知症の初期には本人だけではなく、家族の誰もが「認知症」の症状が出ているということを認めたくはないという傾向があります。
そのために家族がしてしまう行動の中には、認知症の人を混乱させてしまうものがあります。 その一つが失敗を細かく指摘する行為なのです。 アルツハイマー型認知症の場合、実際にはできていなくても自分ではちゃんとできているつもりということが少なくありません。

つまり家族が良かれと思って言ったことでも、認知症の本人にとっては、「なんで文句ばかり言うのだろう」と、納得できない感情があり、この状態が続くと家族に反発し、言われたことを拒否するという反応をするようになって、口論につながってしまうのです。

こうなると認知症の人は言語機能もだんだん衰えてくるので、口論になっても言葉数ではなかなか勝てませんし、自分の言いたいことを思うように伝えることができなくなってしまいます。
そのためイライラが募り、家を飛び出してしまったり、あるいは「自分ではちゃんとやっているはずなのに私はおかしいのだろうか」と、不安が募って、うつ状態に陥ってしまうこともあります。

このような時は口論によるストレスを減らす工夫をしてみましょう。
家族がフォローすることで口論は減ってきます。
口論を減らすことは、認知症の本人だけではなく家族にとってもストレスを減らすことにつながるので、お互いのためになることなのです。

ですから細かい指摘や些細なことで小言を言うことは逆効果になりますので、認知症の人に対して家族が絶対にやってはいけない禁止行動の一つとさせていただきます。

やってはいけないこと 2 家族が認知症であることを周囲(ご近所など)に隠す

認知症全体に関わる大きな問題として認知症への偏見があります。

近年、認知症の情報がテレビや新聞・書籍、ネットなどで紹介されるようになり、認知症に対する意識はだいぶ変わってきました。
しかし、いまだに認知症に対する強い偏見があり、家族の一員が認知症であることを隠してしまう家族も少なくありません。

ご近所に知られることを恐れ、また地域包括支援センターや医療機関へ相談することもありません。

しかし認知症は隠そうとすればするほど苦しくなります。 
狭い空間で少ない家族と四六時中一緒に過ごし、同じことを繰り返し言ったり、聞かれたりするようになるわけですから、ストレスも大きくなり、口論も絶えなくなってしまいます。

そうすると遅かれ早かれご近所に気づかれてしまうことになり、周囲に隠すデメリットのほうが大きくなってしまいます。 

こんな時は偏見を捨て、認知症家族がいることを隠さずに堂々と周囲の人たちに打ち明け、ケアすることについて周囲の人たちにも協力してもらうようにお願いしたほうが、結果的に良いことになると思われます。

なぜなら認知症は誰にでも降りかかってくる問題だからです。 

親、親戚、ご近所の人、あるいは自分自身、誰もが認知症になる可能性があるので、「うちの母が…」とか、「うちのおじいちゃんが…」とかいうように、ご近所同士で情報を提供し合い、助け合っていくことが、これからは必要になってくると思われます。

周囲の人たちも認知症への偏見を捨て、ケアに協力してくれるようになるでしょう。

やってはいけないこと 3 認知症の家族を家に閉じ込める

また認知症を隠すということは家に閉じ込めて外に出さないという行為につながっていきます。

例えば、アルツハイマー型認知症の場合、じっとしていられないという特徴がありますので、部屋に鍵をかけて閉じ込めてしまうと、そこから逃げようとして遠くへ出かけて行き、結果的に「徘徊」することになってしまいます。

閉じ込められるという恐怖心がなければ、ただその辺を散歩して戻ってくることがあるのですが、迷子になるのを恐れて閉じ込めようとする気持ちが強いと、逆に症状が悪化してしまうのです。

強制的に家に閉じ込めることだけは絶対にやめておかれた方がいいでしょう。

やってはいけないこと 4 脳トレを強制すること

良かれと思ってやらせる脳トレーニングも逆効果になることがあります。

脳トレを無理強いすることも初期の認知症の段階で家族がやってしまいがちな間違った行為です。

認知症のご本人が好きで脳トレに取り組んだのならいいのですが、周りがあれこれ強制すると、それがストレスになってしまいます。 

子供がやるような計算ドリルなどをやらされることに、本人が乗り気でない場合も少なくありません。 もし脳トレの計算ドリルなどを正解することができなくなってしまったら、本人が落ち込んでしまいますし、それがうつ状態を引き起こすきっかけになるかも知れません。

脳トレ学習はほどほどにして、決して強制するようなことがあってはなりません。 必ず認知症の人本人が自分で自発的に行うようにしたほうが、本人のためにも家族のためにも良いことであると思われます。

まとめ

認知症の人にしてはいけない9か条

1  叱りつける 

2  頭ごなしに怒鳴る 

3  命令する 

4  強制する 

5  急がせる 

6  子供扱いする 

7  役割を取り上げる 

8  行動を制限する

9  何もさせない 

認知症の人は認知機能が衰えても感情は豊かです。 

プライドを傷つける言動は症状の悪化につながるので、絶対に避けるようにしてく

ださい。 何事にも笑顔で接することが大切です。

最後に

認知症の人を支え、ともに生きている家族のみなさん !

今日では認知症の人は何もできない、何も分からない人ではないということが社会の常識になりました。

家族への支援の施策も以前と比べると格段に進みました。

不安を抱えているのはあなただけではありません。

仲間とつながれば生きる勇気が湧いてきます。

明日という日を明るく生きてみましょう。

「認知症」の人のために家族ができること そして絶対にやってはいけないことを
提言します  終わり

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