高齢者を惑わす金融機関のワナ 危ない投資信託と外貨建て保険にご注意 !
2019年4月 追記補正最新版
はじめに
高齢者の大切な財産を狙っているのは詐欺師たちばかりではありません。
地域住民からの信用・信頼を逆手にとり、金融商品の知識が足りない高齢者に必要のない金融商品や保険商品を売りつける。
実は地域の金融機関が現実にそのような、高齢者を騙す特殊詐欺まがいの営業活動を行っているのは事実です、と申し上げたら、あなたはどう思われますか?
自分たちの営業成績を上げることだけを考え、目標を達成するためには高齢者に多少の損害を与えても全然構わないといったような、不適切な違法営業を行う金融機関とその社員たちが数多く存在するのは、残念ながら事実なのです。
最初にはっきり申し上げておきますと、その危ない金融商品というのは毎月分配型の投資信託と外貨建て保険の2つです。
この2つの金融商品がいかに危険な商品であるかについてブログ記事の中で詳しくご説明いたします。
今回は高齢者の方たちが騙されないように、悪質な販売手法を取る金融機関の手口とその対策法をできるだけ詳しく解説していきたいと思います。
目次
絶対に買ってはいけない 危ない投資信託の見抜き方
“資産寿命”と”取り崩し”の2つのキラーワードで不安を煽る金融機関
人生100年時代を迎え日本人の平均寿命が延びたため、資産を運用するには目先の利益より老後に向けた生活資金の確保を優先しようと考える高齢者の方たちが増えています。
そんなときに有効な資産運用法の一つとして、銀行や証券会社などの金融機関の窓口で販売されているのが投資信託 (投信) です。
1,800兆円を超えるといわれている個人金融資産の半分は現金と預金です。
しかし、現在の預金金利は限りなくゼロに近く(ゼロ金利政策)、有効な運用手段とは言えません。
投資信託 (投信) は預金と違い元本の保証はないものの、超低金利の下では有力な運用の選択肢になります。
その理由は、投資信託の購入が増えれば株式や債券市場に流れ込む個人マネーが増え、経済活性化にもつながると考えられているからです。
政府の推進する「貯蓄から投資へ」の流れを加速させる商品として期待されていたのです。 ところが….
最新の調査によると、金融庁が大手銀行などが販売した投資信託の運用成績を調べたところ、投信を保有していた顧客の実に46%が損失を抱えていることが分かったのです。 株価基調が総じて堅調なのになぜ多くの顧客に損をさせるようなことになったのでしょうか?
それは一部の金融機関が、同じ顧客に何度も商品を買い替えさせる、いわゆる「回転売買」をさせていたからです。
投資信託というのはそのまま長期間持ち続けていれば損を出しにくい金融商品なのですが、金融機関が手数料の高い商品を売って儲けを得るために顧客に何度も商品を売り買いさせて、高い手数料を得ていたのです。
顧客は別の投信商品を新たに買い換える度に何度も高い手数料を支払わされていたというわけです。
高齢者を泣かせる 回転売買
このような一部の金融機関による手数料稼ぎ・儲け優先の販売手法のために利益が目減りし、運用成績がマイナスになり、損失を抱える顧客も多くなっていったものと考えられます。
さらに悪質なのは、損失を出した顧客の大半は高齢者 (シニア世代) で、一部の金融機関が顧客の利益にならないことを知りながら、手数料目当てで回転売買をさせていたことが分かったのです。
回転売買を規制する法律はありませんが、顧客の意思に反して頻繁に買い替えが繰り返された場合、金融商品の適正な勧誘を義務付けた「金融商品取引法」違反にあたる可能性があります。
これらの詐欺まがいの悪質な販売をした金融業者に対しては、証券取引等監視委員会から金融庁に報告され、金融庁から業務改善命令が出ています。
高齢の顧客を手数料稼ぎの道具としか見ていないと判断されたのです。
ダメ投信を売りつけるためのセールストークにご用心!
また、比較的多く売られていたのが、月一回など定期的に分配金を出すタイプの投資信託 (毎月分配型投資信託) という商品で、長期的な資産形成にはとても不向きな商品なのです。
しかも、顧客が年金受給者ということで、年金が偶数月に入るため奇数月に分配するという、高齢者に安定的な現金収入のある生活をイメージさせることを狙った、あざとい分配型投信商品もあるのです。
ここで悪質なセールスマンが使うセールストークがこれです。
キーワードは「取り崩し」と「資産寿命」です。
『たとえ65歳の定年時で3000万円持っていたとしても、資産を普通に取り崩すと80歳になる前に0になってしまいます。
財産は有効活用しないと損ですよ』などと言って脅かします。
次に『資産が3%の利回りで運用できるとすると、100歳ぐらいまで資産寿命を延ばすことができますよ』などという甘い言葉で誘ってきます。
そしてさらに『こちらの商品のほうがもっと利回りがいいですよ』などと言って、買い替えを勧めてくるのです。
さらに追い打ちをかけるように、これを何度も繰り返すわけです。
(これが回転売買です)
しかし実際には、投資信託には販売手数料が2%程度、運用管理費も年間1%程度のものが多いですから、何度も買い替えをしていくうちに高い手数料を支払わされ、資産が目減りしてマイナスになっていくわけです。
高齢の顧客に対しては、これらの手数料がかかることはほとんど知らされていません。
高齢者にとっては一見親切に見える投資信託のセールスですが、実際には手数料狙いのとんでもないぼったくり投信商品というわけです。
結論
毎月分配型投資信託は金融機関から勧められても絶対に購入しないでください。
( 特に奇数月分配型投信 )
また、すでに毎月分配型投資信託を買われている方は、今現在の運用成績をよくご確認ください。マイナスが出ているようであれば即刻解約してください。
金融庁は金融機関に対し、顧客の運用成績について共通した指標に基づく情報の開示を求めています。
手数料が高い商品ばかりを売って儲けを優先するのではなく、顧客本位の販売を促す狙いがあるとみられています。
金融庁が運用成績の「見える化」を進めることは、金融機関による手数料稼ぎのような販売方法の牽制になるはずと考えてのことなのです。
「外貨建て保険」にも恐ろしいワナが潜んでいます ご注意ください
高齢者の資産を食い潰そうとするのは、危ない投資信託だけではありません。
保険料を米ドルなどの外貨で運用する「外貨建て保険」についても注意が必要です。 実は今、この「外貨建て保険」への苦情が殺到しており、安全なイメージが強い生命保険商品への信頼を揺るがす問題が発生しているのです。
顧客から預かった保険料を、米ドルあるいは豪ドル建ての終身保険や年金保険などで運用する貯蓄性の高い保険商品が「外貨建て保険」です。
積立利率が一定水準 (1.5%、3%など )で最低保証されています。
円建て保険に比べて高い返戻率と割安な保険料が最大のメリットといえるものですが、利回りやリスクに関する説明が足りないことに苦情も多いようです。
苦情の中身をよく聞いてみると、多くの人が「外貨建て保険」の内容を正確に理解できていないことに主な原因があるようです。
それもそのはず、この商品の仕組みは非常に複雑で、パンフレットや提案書を一度読んだきりではまず理解することはできません。
注意する点について一応記載されてはいるのですが、文字が小さかったり、言い回しが難しかったり、保険会社独自の用語を使ったりと、とにかく難解なのです。 わざと顧客に分かりにくくして思考停止に陥らせるのが目的なのではと勘ぐってしまいたくなるほどです。
そもそも「外貨建て保険」というのは生命保険会社において取り扱っている商品なのですが、提携先の銀行の窓口でも販売することができるため、多くの高齢者が銀行の窓口でこの「外貨建て保険」を契約しているのです。
その際、金融機関が目先の手数料収入欲しさに金融商品の不適切な販売をしていたのではないかと思われるのです。
商品が高利回りであることばかりを強調し、マイナス面を十分に伝えていなかったのではないかと判断されているのです。
マイナス面というのは、円高が進むと死亡時などに受け取れる保険金が目減りする為替変動リスクや、満期前に中途解約すると元本割れする可能性が高くなるという点です。
これらのリスクは契約者に分かりやすく説明しておくべきものなのに説明が不足していたか、あるいはほとんど説明していなかったということなのです。
特に、金融知識が十分ではない高齢者がトラブルに巻き込まれるケースが目立っています。
家族の立会いなしに90歳近い高齢者に多額の外貨建て保険の契約をさせたという事例があるのです。 このケースの場合、90歳の父の月額保険料が50万円近くにもなっていたそうです。
さらに悪質なのは、契約内容をほとんど理解できていない認知症の高齢者に商品を売りつけたこともあったということです。
これでは高齢者を騙す特殊詐欺 (振り込め詐欺) と大して変わらないのではないでしょうか。
そのためここでも金融庁が銀行や生命保険会社への監督強化に乗り出しています。
実利回りの説明が不十分であることを糾弾する!
保険の利回りが実際よりも高いと誤解させるような表記が商品の販売資料に記載されており、あたかも高い利回りが得られるかのような誤った説明が顧客になされています。
ここで言われている、実際よりも高い利回りというのは「積立利率」と言われているもので、契約者が支払う保険料の総額から手数料などを差し引いた後の金額を元に利回りが算出されるため、実際よりも高い利回りとなり、契約条件が有利に見えやすいことにより契約者を誤解させているのです。
そのため金融庁が問題視し、改善を求めていたのです。
そこで生命保険協会は商品内容の説明の仕方を改善することにし、今年 (2019)の4月から契約時に保険料を一括で払う一時払い型の商品を対象に、実質利回りを販売資料などに明記するよう、生命保険各社に要請することになりました。
販売資料には次のようなことが明記されます。
- 説明方法を改善し、販売時に中途解約による元本割れなどのリスクがあることをきちんと顧客に説明すること
- 為替や金利の変動リスクを記載した補助資料を作成すること
- 実際より高い利回りが得られるかのような誤解を与える説明を改め、実質利回りを明記すること
こうして外貨建て保険の「見える化」が進められるようになってきました。
しかし安心はできません。投資信託と同じように、ここでも高額の手数料という問題があるからです。
本当に恐ろしいのは手数料!!
外貨建て保険を契約する際には初期費用がかかります。
契約時にかかる費用として、なんと契約代金の7%もの高額な手数料を取られる商品もあります。
さらに円をドルに換算する時にかかる為替手数料の他、保証費用、運用のための費用などが 保険期間中ずっとかかるのです。
また保険金を年金として受け取る時には、 ドルを円に変えるための手数料がかかり、さらに年金管理費として毎年の受取年金額の一定割合がかかるのです。
なんと恐るべき高コスト商品ではありませんか。
しかも商品内容が複雑すぎて、金融の専門家でもなかなか理解できない代物なのです。 素人が一度聞いただけで理解することは無理です。
銀行マンから熱心に勧められて分かった気になっているだけなのです。
この商品のように加入した途端に1割近くの資産を減らしてしまうような、明らかに損をする商品は買うべきではありません。
断言します。絶対に「外貨建て保険」には加入しない方がよろしいでしょう。
もしどうしても外貨建て商品で運用したいとおっしゃるのであれば、外貨建て MMF や外国債券に投資する方がコストは割安になります。
試してみてはいかがでしょうか。
最後に
資産運用のために金融機関から金融商品を買う時は十分な検討が必要です。
窓口でよく説明を聞き、十分納得してから契約するようになさってください。 分からなければ一度持ち帰っても構わないと思います。
自分なりに商品をよく研究し、それでも分からなければ加入しない方が無難です。
特にこれから老後のために資産運用を考えてらっしゃる方は、金融機関の窓口でいくら勧められても毎月分配型の投資信託と外貨建て保険だけは絶対に手を出さないでください。
それがあなたの大切な資産を守ることにつながることになるでしょう。
高齢者を惑わす金融機関のワナ 危ない投資信託と外貨建て保険にご注意 !
終わり