インドネシア火山津波の衝撃! 日本も危ない「地震なき津波」のリスク

インドネシア火山津波の衝撃! 日本も危ない「地震なき津波」のリスク

はじめに

2018年の暮れも押し迫った12月22日夜、日本から遠く離れたインドネシアのスンダ海峡で発生した津波は、ジャワ島とスマトラ島の沿岸の建物や住民らを襲い、430人以上の多くの犠牲者を出しました。その他に怪我人が約1,500人、行方不明者も約160人と相当の数に上っている模様です。
(12月29日現在で分かっている人数)  


甚大な被害を与えた今回の津波は、近くの活火山の噴火による、大きな地震を伴わないもので、津波は前触れもなく海岸に押し寄せ、逃げる余裕のなかった人々を次々とのみ込んでいきました。現地の住民の人たちはもとより、世界中の誰もが
驚愕した予想し得ないものだったのです。


当時、海岸ではインドネシアの人気ロックバンドのコンサートが行われており、
ライブ会場が突然、津波に襲われてステージが崩壊すると同時に、バンドメンバーや観客たちが一瞬で流された動画が報道され、全世界に衝撃を与えました。

火山溶岩

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目次

地震なき津波 山体崩壊の衝撃

 この時、世界中の多くの人が思ったことは「津波って地震じゃなくても発生する
んだ !?」
ということではなかったでしょうか? 

もちろん私も知りませんでした。初耳でした。

津波は地震によって引き起こされるものであるということは私たちの常識ですが、実際は火山活動 (火山の噴火と地滑り) によって発生する場合もあるのだという
事を、今回初めて私たちは知ることとなりました。

津波が起きるのは地震だけが原因なのだという思い込みは禁物であるということが分かりました。

地震による津波災害が多発するインドネシアでは、「地震が起きなければ津波は
来ない」という思い込みが強かったと思われます。

実際現地では、21世紀になってからでも大きな地震と津波が毎年のように起きて
おり、その度に甚大な被害を受けているのです。
そのために今回のような大きな地震の起きない、火山活動が原因の津波に対する
深い知識は沿岸住民には無く、突然の津波襲来は沿岸住民に避難する時間を与えなかったようで、住民らを戸惑わせているのです。

今回のインドネシアの津波では、大きな地震が起きたとの報告はなかったため、
津波は火山活動で起きた地滑りにより、海面が押し上げられたことによるものだろうとの見方が強まっています。 実際、海の中のことなので目には見えないため、まさか津波が来るとは思わないのは当然のことでしょう。

映像などを見ると、噴火とともに山が崩れる「山体崩壊」現象が起き、土砂が海に流れ込んで津波が発生した可能性が高いとみているのです。

そして、今回のインドネシアのように火山活動による「山体崩壊」が原因の津波の被害は、日本にとっても決して対岸の火事ではありません。

両国とも周囲を海に囲まれているからです。
そして両国とも地震や火山噴火が頻発しています。

インドネシアと同じように、日本列島も海に囲まれた火山大国なのです。 だから今回のインドネシアの「火山津波災害」は決して他人事ではありません。

今回の被害を教訓に、今改めて地震や津波などの大規模自然災害への十分な注意と警戒が必要となります。

改めて今、私たちには自然災害のリスクを読み取る技術が必要とされているのではないでしょうか。

山体崩壊巨大津波発生の危険性


日本列島の多くの火山は、富士山に代表されるように優美な形をしているのが特徴です。 ですから多くの人々は火山の噴火といえば、火山の火口から立ち昇る噴煙と流れ出る溶岩流を思い浮かべるのではないでしょうか。

このような噴火を一般的に「山頂噴火」と言いますが、100万年以上ともいわれる 長い長い火山の一生の中では、逆に山体を破壊するような火山活動が起きることも稀ではないようです。

このような「山体崩壊」を伴う噴火が火山島や海岸近くの火山で起きると、山体の崩壊によって発生した「岩屑なだれ」が海へ流れ込み、巨大な津波を引き起こす可能性が高いのです。
むしろ、日本列島ではほとんどの火山でこのような「山体崩壊」が起きて津波が発生し、それが大災害につながった例が非常に多いのです。

 実際、日本でも過去には、火山津波による災害がこれまでに何度も起きてきました。 その代表的なものが1792年の有明海の大津波で、長崎県の島原半島にある
眉山という山の火山活動により山体が崩壊して海に流れ込み、津波が起きたもので、津波が押し寄せた対岸の熊本県を含め、死者は15,000人に上りました。
これが有名な日本史上最悪の火山災害と言われている「島原大変肥後迷惑」という大惨事です。

その後、1896年にも「明治三陸津波」と言われる、20,000人を超える人が犠牲になった火山津波が起こったり、近年にも小笠原諸島の西之島の火山噴火で、島の崩壊による津波発生が心配されたことがありました。

「山体崩壊」やそれに伴う「津波」に対処するには、個人の努力ではどうしても限界があります。

だからこそ、世界一の火山大国である日本の政府や行政は、このような大規模火山災害がいつ起きてもおかしくないことを認識して、国民の命と財産を守る施策を実行する責務があるのではないでしょうか。

インドネシア クラカトア火山

大規模自然災害への防災に真剣に取り組むこと

 太平洋に面した火山列島の島国、日本では地震や台風など多くの自然災害を被りながらも発展を続けてきました。 社会機能が高度化する中で、今後も起こりうる大規模自然災害に私たちはどのように向き合うべきなのでしょうか。

不都合な情報にも真剣に向き合って対処する心構えを

個人が取り得る防災対策としては、まず何と言ってもあらゆる防災情報にアンテナを張っておくことが大事です。 各自治体が公表しているハザードマップなどを見ることにより、災害リスクに関する情報が以前と比べて個人でも容易に見ることができるようになりました。

最新のハザードマップを見ると、かなり高い確率で正確に、自分の住んでいる地域の危険度が分かるようになってきました。 しかし、いくら危険であることが分かったとしても、肝心の住人個々人が関心を払わず対応しなければ、命を救うことさえできないというのが防災というものの難しいところではないでしょうか。

どんな不都合な情報にも真剣に向き合って対処するという心構えを持ち、防災のための訓練をしておくことが必要なのではないでしょうか。

国や自治体が強制力を持つことは必要なのか

 社会的弱者についてはしっかり守っていく仕組みが必要ですが、国や自治体は
もっと強制力を持って住人たちの防災に対処した方が良いのでしょうか。
しかし、何もかも行政が指導することにより、人々が自分で身を守ることを止めてしまい、思考停止に陥ってしまうことが懸念されます。

残念なことにこれまで個人の防災と言えば、小学生でもわかるような標語をただ唱えて、紙に書いて掲示するだけの事が中心でしたが、現在ではせっかく正確な防災状況まで予測できるのですから、やはり個人がリスク情報をしっかりと理解して、適切に対応できる力を養うことが重要だと思われます。

ジャワの朝焼け

自治体が配布したハザードマップを見ていないという事実

 ある調査によると、地域の半数以上の住人が自治体が配布したハザードマップを見ていないといった結果が出ています。 せっかく配布していただいているのに、本当にもったいない残念なことです。 なぜなのでしょうか? マップの見方が分からないのでしょうか? いや、自分が暮らしている場所が危ないと思っている人ほど見ないのかもしれません。

都合の悪い結果分かってしまうのが嫌だからあえて見ようとしないのかもしれません。 でも、不都合なことに向き合って対処するという訓練をしておかないと、巡り巡って困ることになるのは自分自身かもしれないということを理解しておくべきではないでしょうか。

防災への取り組みは、自分の生き方を問うことにもなる

 我々は災害に対してどのように向き合うべきなのか?

日本の国土は、全地球上の活火山の約7%が密集している火山大国です。
そして大きな地震の18%以上が起きている地震大国でもあります。

これからも地震から逃れることのできないのです。

最近では異常気象による大雨・洪水などの水害リスクも高まってきています。
そうした国で豊かな人生を送るためには、何を受け入れ、どんな事を選択するべきかをよく考えて、防災に取り組まなければなりません。
言い換えれば、防災への取り組みというのは私たちの生き方を問うことにもなるのではないでしょうか。

自分の生活を豊かにするためには、災害や防災に対する情報を集めて取捨選択し、最適なものを選ぶ能力を高めていくということが正しい方法なのではないでしょうか。

大地震予測津波の感知は可能なのか

 いつ大規模地震が起こるかを予測することは、やはり相当難しいと思われます。

起きることが確実であっても、残念ながらいつ起こるかを正確に予測することは
できません。 
どんなに地震学者らの研究が進んだとしても、何年何月何日の何時何分頃にどこで地震が起こるということは決して誰にもわからないことなのです。

ただし、これから起こる地震に対して備えることはできるはずです。
地域ごとに、揺れに対する危険度は異なりますので、最近ではより狭い範囲での
違いを明らかにして、きめ細かな被害予測をする研究が進んでいます。

津波を早期に感知することも大切です。

既に知られている活断層で地震が起きた場合には、気象庁が速やかに波警報」を出すことになっています。 それ以外の火山噴火によるものなどは、各地の沿岸や沖合などに設置してある潮位計や海底津波計が異変を捉えられるかどうかが鍵となるでしょう。

津波を感知したら、迅速に避難することが津波の被害を免れ、災害を減らす最大のポイントです。 津波のわずかな予兆からリスクを読み取る技術が必要となることに間違いはないでしょう。 それは政府や研究機関だけではなく、私たち一人一人の国民の努力義務でもあるのではないでしょうか。

海底地震津波観測網 (S-net)

日本海溝海底地震津波観測網 (S-net)

地震・津波防災の観点からすると、より迅速で正確な情報伝達、予報・警報の発信によって、時間的余裕の確保、つまり防災・減災に必要な時間をできる限り多く確保することが重要となります。

2011年に発生した東日本大震災は、当時世界最高といわれた日本の地震研究や津波警報の課題や問題点を浮き彫りにしました。「想定外」の巨大地震に太刀打ちできずに被害を拡大させることになったのです。
このときの信頼回復のための取り組みの柱として進めているのが、「S-net 」という名称で呼ばれている「地震津波海底観測網」の整備です。津波や地震をいち早く捉えて正確に予測し、迅速な避難に役立てようとするものです。

ここでその役割を担っているのが国立研究開発法人・防災科学技術研究所 [NIED]で、東日本大震災後すぐに「文部科学省地球観測システム研究開発補助事業」により「日本海溝海底地震津波観測網 (S-net) 」の整理事業を開始し、東北地方の日本海溝千島海溝に沿ってケーブル式の地震計・津波計から成る観測点を高密度に配備し、リアルタイムの連続観測を行う海底の地震と津波の観測網整備事業を実施しています。

「海底地震津波観測網 (S-net) 」避難対策や手段の検討、防災計画の立案を身近なものとして、災害に強い安全・安心なまちづくりに貢献する重要な役割を担っています。

S-net

日本海溝海底地震津波観測網 (S-net)  整備事業のホームページはこちらです

※地震防災情報サイトをご紹介します

防災科学技術研究所 [NIED] が提供している 「J-SHIS 地震ハザードステーション」は地震防災に関する各種情報を入手することができるサイトです。
ぜひ参考になさってみて下さい。

J-SHIS

「J-SHIS 地震ハザードステーション」のホームページはこちら

津波の危険があれば正しい情報を得て緊急避難

 住んでいる地域に津波や洪水あるいは家屋の倒壊などの危険があれば、ためらわずに「一時集合場所」「避難場所へ避難することを忘れないでください。

特に沿岸部では大きな揺れを感じたり、津波警報」が出されたら、必ず高台などの安全な場所へ急いで移動しなければなりません。
こんなこと当たり前のことのように思われるかも知れませんが、なぜか自分で勝手に「大丈夫だろう」と判断して家から避難しない人が、大きな災害が起こるたびに毎回必ず多少なりともいらっしゃるのです。 非常に残念なことです。
大変危険な行動なので絶対に止めてほしいものです。 

また、このとき誤った判断をしてしまうのが最も危険です。安全を確保するためにラジオやテレビ、消防署、行政などから正しい情報を得るようにしたいものです。また、避難訓練には必ず参加するなど、普段から避難ルートに慣れておくことも
重要なことです。

避難する際には我が家の安全を確認したうえで、近隣住宅などの安否も同時に確認することを忘れないでください。 高齢者世帯や介護を必要とする人、子育て世帯など、手助けが必要な場合もあります。 特に高齢者世帯では、避難の情報を受けることができずにいることも考えられます。 高齢者が避難が必要であることを認識できているか、または避難が完了しているか、積極的に声かけをしたいものです。

万が一、倒壊した家屋や転倒した家具の下敷きになっている人がいた場合、近隣住民で協力し合って救出、救護することを忘れないで下さい。 できるだけ近隣地域で助け合うような、共助の精神を持ち合うようにしたいものです。
また、停電火災などの二次災害を防ぐためにも、避難する際には家のブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉めておくことが絶対に必要です。 絶対にお忘れなく。

避難するには、まずは「一時集合場所」

役所や警察、消防から避難指示があった場合には、とにかく着のみ着のままで結構ですから早急に避難することが大切です。

何しろ津波による攻め水は足が速いのであっという間に到着します。 
最初に避難すべきは定められた高台にある「一時集合場所」ですが、もし「一時集合場所」が危険だと判断されれば別の「避難場所」へと移動することになります。

津波や洪水などの危険がなくなったとしても、水が引くまではしばらくは自宅に戻ることはできません。  しかし、津波のすさまじい破壊力によって自宅が半壊や全壊して生活ができない場合や、水道や電気などのライフラインを使えないなどの場合は「避難所」に避難して、一時的に生活を送ることになります。
高齢者の場合は体調を崩しやすいので、周りに多くの人がいる避難所暮らしの方が安心だと思われます。
自宅が再建できなければ後に仮設住宅に入居することも必要となるでしょう。

生活再建へ向けて 「罹災証明書」の重要性

地震や津波の余波がおさまり、避難生活が落ち着けば暮らしの再建が始まります。各自治体には地震や津波などで被災した市民に生活再建の取り組みを行う様々な制度が用意されています。 ここで必ず必要となるのが、被災した家屋の被害の程度を証明する『罹災 (りさい) 証明書』です。

被災したら必ず、その被害のそのままの状態を、あらゆる
角度方向から写真に撮っておいて下さい。 そしてその写真を添付して、居住地の市役所に『罹災証明書』を申請することになります。こうして生活再建に向けて動き出すことになります。

「緊急予備資金」を準備しておきましょう

地震や津波など大きな災害に遭遇したときの生活上のリスクへの備えとして、一般的には月の生活費の3ヶ月から6ヶ月分、場合によっては1年分ほどの資金を用意しておくと、いざという時に大変役に立ちます。
この資金のことを、私たちFPは「緊急予備資金」と呼んでいます。

「緊急予備資金」の主な使い道としては、被災時・避難時の食事代、衣服代などの生活必要経費交通・通信費用、ホテルなどの宿泊費などが考えられます。 
3か月分~6ヶ月分というのは避難期間や生活を立て直すまでにかかる期間などを想定していますが、昨今は被害が拡大し、6か月以上、1年以上など長期化する傾向にあります。 できれば6か月分~1年分以上の資金を用意しておきましょう。

「緊急予備資金」は被災地だけでなく、思いがけない失業、怪我や病気など不測の出費にも役立ちますから、必ず確保しておきたいものです。 すでに目安額以上の貯蓄のある人は、食費・生活費や住宅修繕資金などに使う予定のあるお金とは分けておくようにしましょう。
普段から災害用の緊急資金として別枠で積み立てて置かれた方がよろしいかと思います。

インドネシア火山津波の衝撃! 日本も危ない「地震なき津波」のリスク 終わり 

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