はじめに
「人生100年時代」という言葉を最近よく耳にすると思います。
多くの日本人が100歳まで生きることが可能とされる時代を迎えつつあります。
それはつまり個人の人生設計も社会の仕組みも大きな変革を迫られる 時代を迎えたということです。
全ての世代の人たちが自分のこととして捉え、考える必要がある時代がやって来たということになるのです。
誰もが100歳まで生きることが当たり前となる時代に備え、私たちは長生きに対する準備を求められることになります。
目次
人生100年時代 がやってくる
今このブログを読んでくださっているあなたは、否応なくやってくる超・長寿社会のためにどんな準備をなさっていますか?
まず老後の生活資金に 加えて医療費や介護費用の備えが必要になってきますよね。あるいは老人施設への入居費用も必要です。
また自分が天に召された時は自分の葬式や埋葬・納骨のための費用もかかりますので準備しておかなければなりません。
お金の面だけではなく健康寿命を延ばすことや学び直しのための環境が必要となる場合もあります。
長寿化が進む日本では欧米などと比べると異常なスピードで高齢化が進んでいます
厚生労働省の調査では日本人の平均寿命は2017年度で男性81.09歳、女性87.26歳になりました。 男性が6年連続、女性は5年連続で過去最高を更新しています。
平均寿命がこれですから、100歳まで生きることが決して珍しくない時代になったといえるのです。
まさに超・長寿社会 (超・高齢社会) が到来したということでしょう。
2025年問題
それに伴い2025年問題と呼ばれている新たな社会問題が起こりつつあります。
戦後間もない1940年代後半にたくさん生まれた世代は「 団塊世代」と呼ばれており、この世代の全員が2025年になると75歳以上になり 日本の全人口の5分の1以上にもなる見通しなのです。
これに伴い医療や介護など社会保障分野で必要な費用が急増し国の財政を一層圧迫する恐れがあるのです。 これが2025年問題の本質です。
2025年問題は お金の話だけではなく、1年間に亡くなる人が約154万人にものぼる「多死社会」にも直面することになります。
人が亡くなる時、病院だけではなく自宅や介護施設でも安心して最期を迎えられるよう、看取りの仕組みを十分に整えていく必要があるのです。
この「人生100年時代 終活プログラム」ブログのテーマは….
このブログサイトではそんな超・長寿社会に生きる私たちの様々な問題を見つけその対策を研究して行こうとするものです。
ブログの記事ごとにテーマは毎回違いますが、共通しているのは、高齢者の中でも特に単身者すなわち、「おひとりさま高齢者」といわれる人たちに焦点を当て、超・高齢社会をこれからたった一人でどう生き抜いて行ったらいいのかを読者の皆様と一緒に考え、知恵を出し合って万全の準備をして行こうとするものです。
もちろん高齢のおひとりさまだけではなく それよりはるかに若い、生涯未婚者になるであろうことが予想される「おひとりさま予備軍」の、現在未婚の男女の方々にも十分お役に立つ記事を掲載していこうと考えております。
このブログの掲載記事の執筆と管理人は 単身者の終活専門の FP事務所
[FP office OHOTUKU56] のファイナンシャルプランナー [CFP®]
のFPユウです。よろしくお願い致します。
超高齢社会における認知症リスク
5人に1人が認知症を発症する時代がやってきます!!
2015年の全世界における認知症患者は4700万人と推定され 2050年までにその
数は約3倍になると予想されています。
2015年1月に厚生労働省が発表した「認知症施策推進総合戦略」 ( 通称「オレンジプラン」) によれば、わが国における認知症の患者数は、2012年で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推定されています。
しかしその数は今後高齢化が進むにつれてさらに増加することが見込まれており、現在入手できるデータに基づいて新たな計測を行ったところ、2025年には認知症の患者数は約730万人前後となることが予測されました。これは実に65歳以上の高齢者に対する割合が現在の約7人に1人から約5人に1人に増加する見込みとなるということなのです。
現時点では認知症を完全に治すことができる治療法は存在しておりません。
ご存知の通り認知症を発症するリスクは年齢が上昇するにつれて高まります。
もしあなたの親が認知症になったら日常の介護で大変なことになることはもちろんですが、それよりも親が認知症になると親名義の預貯金を家族であっても引き出すことができなくなってしまうということのほうがもっと大変なことです。
親の銀行口座が凍結されてしまうのです。
親の死亡による銀行口座の凍結 そんなときどうしたらいいの?
一般的に死亡した人の銀行口座は凍結されるということは多くの方がご存知か、
あるいは聞いたことがあるのではないかと思います。
銀行は口座名義人の死亡を知った時点でその口座を一時的に凍結します。
死亡を知った時点というのは役所に死亡届けを出した時点のことではありません。役所から銀行に連絡がいくということは原則無いことなので、直ちに口座が凍結されるわけではないのです。
また、凍結というのは銀行が口座からお金を引き出す事ができないようにする仕組みのことです。
口座が一時的に凍結されるのは親族間の相続トラブルに銀行が巻き込まれることを避けるためです。 口座が凍結されると家族といえども勝手にお金を引き出すことができなくなります。
仮に死亡した人の通帳やハンコあるいはキャッシュカードが見つかったとしても 家族が勝手に口座からお金を引き出すことはできません。
人が亡くなれば葬儀代やお寺へのお布施や戒名代・納骨代などの様々な費用がかかります。これは結構大きな金額となりますので残された家族としてもなるべく亡くなった本人の預金の中から用立てたいと考えるのが普通です。
でも、だからといって亡くなった親の口座から勝手にお金を引き出すことはできないのです。
きちんと遺産分割の協議をして正常な相続手続きをとらなければ個人の口座の凍結が解除されることはありません。
このように銀行は相続問題をクリアにしないと決して銀行口座の凍結を解除してくれることはありません。
親が認知症になるとその銀行口座は凍結されてしまう
この死亡による口座凍結と同様のことが 名義人が認知症になった時にも適用されることがあります。
なぜなら認知症になると法律的に意思能力がないものとみなされるからです。
銀行によっては認知症の進行具合によって判断の基準はまちまちですが、いずれにしても銀行がこの人は認知症であると診断すれば、口座を自分の意思で管理することができないと判断され、口座は凍結されてしまうのです。
このように親が認知症になったことを銀行に正直にありのままに語ってしまうと
口座凍結になって親の預金が引き出せなくなってしまう恐れがあります。
でもその認知症の親を介護するために親の口座にあるお金が必要とおっしゃるご家族はたくさんいらっしゃいます。
このように認知症の親の銀行口座が凍結されてしまった場合であっても、どうしてもその口座のお金を必要とするときは家族はいったいどのようにしたらよいのでしょうか ?
成年後見制度をご存知ですか?
そんな時によく使われる制度が成年後見制度です。
成年後見制度とは認知症など精神上の障害により判断能力が不十分で意思決定が困難な人について、第三者が後見人となりその判断能力を補って財産などの権利を守る法制度のことです。
この制度を利用して親族が後見人になれば、口座が凍結されていたとしても必要な介護費用など必要な経費を 本人の口座から引き出すことができるようになります。
ただし必要最低限の財産使用ができますが親の預金を自由に使えるようになるわけではありません。
これらの引き出し可能額はすべて裁判所の規定によって決められているからです。
成年後見人の申し立てをするには家庭裁判所による認定が必要で手続きは非常に煩雑です。
また親族だからといって必ずしも後見人になれるとは限りません。
自分の親の後見人になりたいからといって必ずしも選任されるということでは無いということです。
最近の統計では親族が後見人に選任される割合は約3割しかありません。
残りの7割は弁護士や司法書士といった法律専門職の第三者が選任されることが多いようです。
法律専門職が後見人になるとますます親の口座から希望の金額を引き出すことが難しくなります。
このように親が認知症になると銀行口座が凍結され親名義の預金を子供であっても勝手に引き出すことができなくなりますのでご注意下さい。
親が認知症になる前に親にお金の話をしよう
それではこのような事態を防ぐためには一体どうしたらいいのでしょうか?
一番いい方法は親が元気なうちに もしものことがあった場合に備えて親族間で十分に話し合い金銭面での問題を解決しておくことです。
では年老いた親にお金の話をどうやって切り出せばいいのか ?
この類の話は自分が死ぬことあるいは認知症になるということを前提としているので、あまり考えたくない話題ですし、子供の側からはなかなか切り出しにくい永遠のテーマです。
依然としてほとんどの人があまりやりたがらないことで、話を切り出しにくくて触れてはいけないタブーな領域だと考えてる人が多いのです。
長年の親子の関係性を否定しかねないような難しい問題ですが、やはり親御さんが元気なうちに思い切ってもしもの時のお金の事を話しておくべきだと思います。
それを後押しするのが最近の終活ブームです。
最近の終活ブームによって親が死を前向きに捉えるようになった
最近の終活ブーム によって死を前向きにとらえ、より良い最期を迎えようとする動きが出てきました。 それはできるだけ迷惑をかけずにこの世を去りたいという発想によるものです。
終活といえば「エンディングノート」ですよね。
最近「エンディングノート」の書き方を指導してくれる終活セミナーが非常に多いようです。 毎週のようにどこかで必ずセミナーが行われています。
今エンディングノートに必要な情報を記入して家族に伝えることは死に限らず認知症で介護を受ける場合も役立ちます。
今終活が注目されているのは超・高齢社会を迎え、残された家族の金銭的負担が身近な問題となっているという背景があるからなのだろうと思います。
でも気をつけなければならないのは 終活というのはあくまでも家族に迷惑をかけたくないという気遣いのできる老親の自発的な行為であって、決して子供の方が強引に勧めるようなものであってはいけないと思います。
決してエンディングノートを書くことを強制してはいけないし、ましてや絶対に親の財産の額や預金通帳・ハンコの場所などを無理に聞き出すようなことがあってはいけません。 心しておきましょう。
最後に
高齢のご両親にお金の話をすることに躊躇するお気持ちはよくわかりますが、でもそういう話は早めにしておかないと、話をためらっている間に万が一高齢のご両親が認知症にでもなってしまうと、何度も言っておりますが銀行口座が凍結されてしまい せっかくの親の預金が引き出せなくなってしまいます。
だからこそ両親がご健在でお元気なうちにお金について親子で腹を割ったお話をしておくことが一番大事なことだと思えるのです。
※成年後見制度に関する記事もいっぱい執筆しております。
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超高齢社会における認知症リスク 認知症による銀行口座凍結を防ぐには? 終わり