「あおり運転罪」新設で厳罰化決定! あおり運転者の心理と対処法を探る

あおり運転 イラスト

人生100年時代 おひとりさま「終活」ブログ 番外編 その6

「あおり運転罪」新設で厳罰化決定! あおり運転者の心理と対処法を探る

[2019年11月27日更新 加筆修正 タイトル改題 最新版]

まず最初に、以前投稿した記事をご覧になって下さい。

[2019年8月18日付けで投稿した記事]


「あおり運転」問題を一躍有名にした事件

あおり運転と暴行傷害の容疑で43歳の男を指名手配 後日逮捕 ! 

2019年8月10日、最近まれに見る凶悪な「あおり運転」の末、暴行傷害事件を起こした男が
いました。

茨城県守谷市の常磐自動車道で、男性会社員 (24) が、高級 SUV 車を運転していた男に
「あおり運転」を受け、走行を阻まれた挙句、無理やり車を停止させられて「殺すぞ」と
怒鳴られながら何度も殴られた事件で、 大阪市在住で43歳の宮崎文夫容疑者が傷害の容疑で全国に指名手配され、数日後、傷害・強要容疑で同乗者の女と共に逮捕されました。 

宮崎容疑者が運転していた車はディーラーの試乗車にもかかわらず、返却期限を無視して
およそ20日間で全国各所を約2000キロにも渡り乗り回していたことがわかりました。 

あおり運転の被害に遭ったというニュースは、ドライブレコーダーの普及や SNS などにより最近では珍しくなくなりましたが、それでも今回の事件はあおり運転事件としては、最近ではまれに見る凶悪さのため話題となり、全国民の関心と怒りを買いました。
当然厳罰に処されるべき事件となりました。 

映像をよく見ると、宮崎容疑者は強引に被害者の携帯電話を奪おうとして殴って怪我をさせていますので、傷害罪だけではなく強盗致傷罪、そして無理やり高速道路上で被害者の車を停止させていますので、強要罪も適用することが可能だと思われます。 

今回の事件が起こるずっと以前から、警察では道路交通法により「あおり運転」の摘発を強化していますが、残念ながらこのような危険な運転行為をする者が後を絶たず、あおり運転を根絶することは困難なことのように思えます。 

現在の日本では、このような危険なあおり運転を単独で取り締まる法律はまだありません。
今回の事件のように悪質さの度合いによっては暴行罪傷害罪を適用することもあり得るという状況にしかなっていません。極めて残念なことです。

是非とも「あおり運転」に対し「危険運転罪」を適用できる 新たな法律を作っていただき、意図的な危険行為に対しては一発で運転免許を取り消し、永久に取得禁止にしてもらいたいものです。 

それから、あまりにも酷いあおり運転をした者に対しては、薬物検査も必要になってくるのではないでしょうか。

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目次

あおり運転 厳罰化 決定 !

[2019年11月27日 加筆投稿] 


この悪質極まりない「常磐道あおり運転殴打事件」が発生し、上記の記事を投稿してから早くも3ヶ月以上が経ちました。

そんなときに思いがけなく嬉しいニュースが飛び込んできました。

あおり運転に関する道路交通法の改正に関するニュースです。

それは、警察庁が「あおり運転」に当たる行為を新たに「道路交通法」で定めて、厳しい罰則を設ける方針を決定したというものです。

「あおり運転」そのものを摘発し処罰する「新たな違反類型」の規定を新設し、
違反者は厳罰に処されることになったわけです。 

そして、この道路交通法の改正案は、来年 (2020年) の通常国会への法案提出を目指して検討を進めています。 

ところで、この新しい罰則、『あおり運転罪』(予想) とでも呼ばれることになるのでしょうか、いったいどれくらいの罪に問われるものなのでしょうか?

現在、「あおり運転」に対しては道路交通法上の「車間距離保持義務違反」を適用して、「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」にとどまっています。

しかし、これでは行為の危険性と比較してあまりにも軽すぎるのではないかという批判も多く、厳罰化を求める声が上がっていました。 

また、刑法の「暴行罪」の罰則が「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」
であるところから、悪質な無免許運転や飲酒運転などとも比較して考えてみると、「あおり運転罪」の罰則は「懲役3年から5年以下」の刑ではないかと推測されているようです。

また行政処分のほうも厳しくなります。

相手に恐怖を与え、運転を妨げる悪質で危険な行為は、重大な事故に発展する可能性があるため、違反行為に対しては累積点数がなくても免許停止免許取り消しなどの行政処分が科される可能性があります。

酒酔い運転や過労運転などと同じように、あおり運転と認定されれば一発で免許取り消し処分にする方針のようです。

従来ですと、あおり運転に当たる行為は道路交通法の「車間距離保持義務違反」により摘発され、違反点数は高速道路上の違反は2点、一般道での違反は1点で、他の違反がなければ免許取り消しにはなりませんでした。

それが今度は一発で免許取り消しになるのです。これはドライバーに危機感を持っていただき、危険な運転を抑止する狙いがあるのは間違いないようです。

あおり運転の態様と違反の種別

ところで、どんな違反をすると「あおり運転」や「危険運転」になるのでしょうか?
現在の危険運転の態様と違反の種別を見ておきましょう。 
([警察庁通達]より)

前方の車両に激しく接近し、もっと速く走るよう挑発する

いわゆる、後方からの「あおり運転」

「車間距離保持義務違反」 (道路交通法第26条)

後方から進行してくる車両が、急ブレーキや急ハンドルで避けなければならない「急激な進路変更」を行う 前方からの「あおり運転」

「進路変更禁止違反」 (道路交通法第26条の2第2項)

危険防止のための理由ではないのに、前方に割り込んで不必要な
「急ブレーキ」をかける

「急ブレーキ禁止違反」 (道路交通法第24条)

左側から追い越す

「追越しの方法違反」 (道路交通法第28条)

夜間に他の車両の交通を妨げる目的で「ハイビーム」を点灯し続ける

「減光等義務違反」 (道路交通法第52条第2項)

執拗にクラクションを鳴らす

「警音器使用制限違反」 (道路交通法第54条第2項)

他の車両と並行して走り、車体を極めて近くに接近させる、いわゆる
「幅寄せ行為」を行う

「安全運転義務違反」 (道路交通法第70条)

故意に自分の車両を他人の車両に著しく接近させるなどの行為を行い、
その行為が相手の運転者に対する有形力の行使と認められる場合には、
刑法上の「暴行罪」が成立する場合があります (刑法第208条)

すでに、2013年には「無免許運転」をなくすために、運転者に対する罰則が厳罰化されており、さらに同乗者に対する罰則も強化されています。

また、2014年には「飲酒運転」などで死傷事故を起こしたときには「危険運転致死傷罪」を適用できるように法律の厳罰化が行われています。

このように、意図的なあおり運転、無免許運転、飲酒運転などの悪質運転に対しては日々罰則が強化されています。

しかし、それでも悪質な危険運転は根絶していないのが現状です。

決して『自分は大丈夫』などという考えを持たず、自動車や二輪車のハンドルを握る際は常に安全意識を持つことにより、交通事故のない社会へと近づくことになるのではないでしょうか。 

あおり運転のきっかけ「通せんぼ走行」はダメ ! 

気が付いていない人たちが多すぎます。

高速道路など、車両通行帯の設けられた道路において、法定速度であっても追い越し車線を走り続けることは「法定通行帯外違反」  (単に「通行帯違反」ともいう) (道路交通法第20条) に当たります。 

これは、車両通行帯 (走行車線と追い越し車線) が設けられた道路においては、通常は必ず「走行車線」のみを走行し、追い越しをする時だけ「追い越し車線」に入ることが許され、追い越しをした後は速やかに左側の「走行車線」に戻らなければならないということであり、そのまま右側の「追い越し車線」を走行し続けることは、道路交通法違反になるということなのです。違法行為なのです。

この件に関しては驚くべきことに多くの方たちが気が付いておらず、誤解をしています。法定速度を守ってさえいれば、追い越し車線をそのまま走行し続けても問題ないだろうと考えている人があまりにも多いことに唖然とさせられます。

実は、この「通行帯走行違反」が「あおり運転」を受ける最大の原因になっているのです。 

 

なぜ「あおり運転」をしてしまうのか? 


あおり運転を止められない人間の歪んだ心理

危険なあおり運転をする人間にはどのような心理的特徴があるのでしょうか?

よく言われているのが、運転中、他の車両からの何らかのきっかけにより、怒りの感情が一時的に増幅され、その時アドレナリンが大量に分泌されて、その勢いであおり運転や暴力行為などに及ぶのではないかということです。

アドレナリンは本来、自分が死に至るかもしれないような危機に陥った時に、その危機から脱するために平常時以上の力を発揮する効果をもたらす分泌物のことですが、あおり運転の場合にはそれが本来あってはならない、危険な運転に快楽を見出す効果を与えてしまっているのではないかと考えられています。 

普通の人間ですと、怒りでカッとなっても、その怒りを自分で認識することにより、時間の経過とともに事態を冷静に見つめ直すことができるものなのですが、
あおり運転をするような、すぐに激昂するタイプの人間というのは、自らが怒っているという自覚を持てないでいるために、怒りの感情を抑えられない状態がずっと続いているのではないかと思われるのです。

日常生活の中でも、車の運転はトラブルを招く可能性が非常に高いものです。
車の運転の仕方を見てみると、その人の性格がよく分かると言われています。
車の運転の基本は、一般道においても高速道路においても、他の車の速度や進む方向などを観察しながら、適切な車間距離を保って上手に車の流れに乗ることだと言われています。 


ところが、車に乗ると極端に性格が変わる人が多くいるようです。
それは車に乗ることにより、車中という密室の中で独りよがりになってしまい、自分が全知全能の存在であるかのような錯覚を起こすからだと言われているのです。 

車はスピードや方向など自分でコントロールできる領域が大きいので、そのような全能感の強い人は、相手に悪気がなくても「割り込み」をされたと思い込みやすいのです。 車を自分の体の延長のようにとられているため、自分が邪魔されたように勘違いしやすいと考えられているのです。
こうしてあおり運転のような危険な運転をしてしまうわけです。 

よく「あおり運転」をする人間の特性

①男性で車の運転が好きである
そもそも車や運転が嫌いな人は「あおり運転」などしないのです。
女性であおり運転をする人はほとんどいません。

②運転に自信がある 
自分は絶対に事故を起こさない、運転技術が周囲より優れていると過度に信じている人が多いようです。

③常に刺激を欲しがっている 
このような人は例外なくスピード狂のため、攻撃性を増すことであおりたくなる気持ちが強くなってくるようです。

④ネガティブな思考で物事を見てしまう 
偶然の出来事でもあおられたと感じ、『俺への挑発だ』などと状況を悪く捉えてしまいがちな人は危険です。

⑤弱い者いじめをしたがる 
上司に対しては媚びへつらい、目下の者に対しては厳しいという “二面性” を持つ
人間です。

全て一概にとは言えませんが、このような傾向があります。

このように、危険なあおり運転などをする人間たちの心理や特性が分かってくると、それに対処する方法もおのずと見えてくるようになります。

「あおり運転」対処法の決定版はこれ


それでは、今回の常磐自動車道事件のように、万が一、自らがあおり運転被害に巻き込まれてしまった場合には、どのように対処すればいいのでしょうか?

警視庁の専門家の方が役に立つ話をしています。聞いてみましょう。

あおり運転に遭遇しないために

トラブルを避けるためにも、危ない人物が運転する車に遭遇しないような注意を常日頃からしておくことが大切です。

①誤解されるような無駄なクラクションやパッシングをしないこと。
つい気楽に考えてしまいがちですが、これは基本中の基本です。

②交通ルールを守り、急な車線変更などの、他の車に「割り込み」と捉えられるような行動をしないこと。

③高速道路では追越車線を走り続けないこと。
追い越し車線を、追い越す目的以外で走り続けることは道交法の「通行帯違反」です。

④運転中は後続車が間近に迫っていないか、5秒ないし10秒ごとに必ず後方を確認すること。

⑤追い越された時は、絶対に相手の運転手の顔を見ないこと。
ガンを飛ばされたと見られてもおかしくはありません。

 

「あおり運転」に対する最高の対処法

それでも運悪く「あおり運転」の標的にされたときはどのように対処すればいいのでしょうか? 

何より相手の挑発に乗らないことです。

とにかく、あおり運転する車からはすぐに離れましょう。

怒りの感情は伝染するものです。

自分まで怒ってしまうと、相手の怒りはさらに増殖する一方なのです。

それを避けるためには、売られた喧嘩は絶対に買わないようにすること。

相手のあおり運転に対して絶対に腹を立てないことです。

あおり返すなど、もってのほかです。

そして恐れずに冷静になって、すぐに警察に通報することです。

それが最良の方法といえるでしょう。

・あおられたら対抗しようとせず、無視すること

・車を止めないで人の多い場所まで行くこと

・逃げている間に携帯電話で110番通報すること (運転者はハンズフリーで)

・高速道路上であればハザードランプを点灯させて路肩に停め、110番通報して
下さい。

   そして、もしも追いかけられ続けたときは、サービスエリアやパーキング
エリアなどの人の多いところまで、とにかく逃げることです。

・万が一強制的に停車させられたとしても、絶対に窓を開けて話そうとしない
  こと。 
このとき、もし相手がハンマーのような凶器を持っていることを確認しても、
そう簡単に車の窓ガラスを割ることはできませんから、落ち着いて110番
通報すること。

・それでも自分の身に危害が加えられそうになったときは、相手の車との隙間を
すり抜けてでも逃げること。 

 このとき、多少車が接触したとしても、これは非常事態回避行動なので仕方
のないことです。

・同乗者がいれば、スマホなどであおり行為やトラブルの経緯などをつぶさに
撮影しておいてもらうようにすること。


・とにかく証拠を残すことです。ドライブレコーダーが車内も撮影できるもので
あればそれでも良いでしょう。

・そして当然のことながら、相手の車の車種とナンバーを確実に記録しておくこ
  とです。

※以上、加筆修正投稿でした。↓ここから先はオリジナル記事になります。

はじめに

最近テレビのニュースやワイドショーなどで、危険な「あおり運転」の問題がよく取り上げられています。

「あおり運転」自体は以前から多くあり、ただそれがあまり表面化していなかっただけなのですが、最近ではドライブレコーダーを標準装備する車が多くなり、さらにこうした ”あおられた”  ”暴行を加えられた” などの被害にあった証拠映像をSNSや動画投稿サイトなどにアップする人たちが増えてきた関係で、大きな社会問題として私たちの目に触れることが多くなってきました。

普段はとても温厚な方なのに、いったん車の運転席に座りハンドルを握ると、別人のように人が変わって乱暴な運転をする人がよくいらっしゃいます。
これには理由があり、運転している時にこそ、その人が持っている本来の性格や人柄が現れるとも言われているのです。

ということは、運転席に座った時に私たちの誰もが、ちょっとしたきっかけで自分の知らなかった本当の性格が現れて、あおり行為などの危険な運転をしてしまう可能性だって全くないとは言い切れないのではないでしょうか。

普通の良識のある人間であれば、自分は絶対にあおり運転などしないと思うでしょう。 そしてあおり運転をする人間を憎み、糾弾しようと考えるでしょう。
それは人の感情として当たり前のことです。

危険極まりないあおり運転行為を行い、何の罪もない人たちに恐怖感を与えて、最悪の場合には死に至らしめることさえあるのだということを考えると、このような悪質なあおり運転を行うような人間に対しては、「絶対に許すことができないから必ず重い刑罰を与えてほしい」と誰もが思うことなのかもしれません。

しかしちょっとお待ち下さい。  

あおり運転をする人間は、どうしてあおり運転をしてしまうのでしょうか?
その気持ちを考えてみたことはございますか?

なぜ彼らはあおり運転などの危険な運転をしてしまうのか?
ちょっとその心理に触れて考えてみたいと思います。

そして私たちあおり運転をされる側には何も因果関係はないのか?
もしかしたら私たちされる側にも何らかの原因があるのではないか?

そして、あおり運転をされた場合にはどのように対処すればよいのかについても考えてみたいと思います。

あおり運転だけではない「危険運転」の恐怖

あおり運転と危険運転

そもそも「あおり運転」とは、後方から極端に車間距離をつめて威圧したり、理由のないパッシング急ブレーキ・急停止をしたりするなど、故意に特定の車両の運転を妨害するような振る舞いをする迷惑行為のことです。

このように後続の車両が意図的に車間をピタッとつめてぶつかりそうになりながら、短い車間距離で追走してくる危険運転をされたら誰だって恐怖を感じざるを得ません。 このような危険行為は明らかに道路交通法上の「車間距離保持義務違反」に当たる犯罪行為です。


一度あの恐怖を経験した者はトラウマになってしばらくは忘れることができないといいます。 実は私もあおり運転を受けた経験がありますが、色々な調査によると、多くのドライバーが一度はあおられた経験を持つことが明らかになっているのです。

あおり運転者の特徴

あおり運転が危険で重大な事故を招く可能性があることは明白ですが、そもそも本人にその意識や罪悪感が全くないのが、あおり運転をする人たちの特徴です。自分は運転が上手いと思い込んでいることもあり、自分はいつも車の中にいて安全だと信じて疑わない人が多いのです。

加えて、後でトラブルに発展することを想像できない人も多く、軽い気持ちでやってしまうことも、あおり運転の社会問題化の原因になっているのです。

他にもあおり運転を生じさせやすくしている原因としては、相手つまりあおられている側のドライバーの顔が見えないことにも一つの大きな要因があるのではないかと思われます。 

顔が見えないために相手がどう感じているかを想像することができず、相手の様子を見て思いとどまったり、適当なところで止めるといった抑制力が働かないので、一方的に攻撃を仕掛けるということになってしまうのです。

「危険運転」にはいろいろな種類がある

また、「あおり運転」とひとまとめにして言っていますが、実は「あおり運転」の他にも、いわゆる「危険運転」と言われているものには、厳密にはいろいろな種類があるのです。

まずは完全に道路交通法違反であることが明白なものとして、「幅寄せ運転」「蛇行運転」「クラクションでの威嚇」「ハイビームでのパッシング」「意識的な信号無視」「無茶な割り込み」「不必要な車線変更の繰り返し」「減速して進路妨害」「危険な急ブレーキ」などがあります。

あおり運転 イラスト-2 

ロードレイジ

次に、単なる道路交通法違反だけにとどまらず、暴行罪や殺人未遂罪が適用される可能性があるものとして、道路上のトラブルから逆上したり激昂したあげく、怒鳴ったり物を投げつけたりするなどして威嚇したり、車をわざとぶつけたり、相手を停止させて車から引きずり降ろして暴行を加えたりといった、明らかに相手に危害を及ぼそうとする行為、あるいは実際に危害を加えるという行為があり、そのようなことをする人たちが実際に急激に増えています。

海外では口論の結果、相手を銃で撃ち殺すというような事件も度々報じられています。

そしてそのような、道路上の出来事で逆上する人たちのことを「ロードレイジ」と呼んでいます。

ロードレイジ (Road Rage) とは、走行中に他の車両に腹を立て、過激な報復行動やあおり運転をする運転者自体を意味して用いられている名称です。

2017年6月の「東名高速夫婦死亡事故」後のマスコミ報道がきっかけで世間に広まり、問題視されるようになりました。

ロードレイジの主な例 図解イラスト

ロードレイジイラスト 

(イラスト引用 : 産経デジタル)

あおり運転する人 (ロードレイジ) の心理状態を考えてみる

人があおり運転をする理由は人によってそれぞれ異なりますが、あおり運転する人によく見られる心理状態をいくつかご紹介します。

1. 時間に追われ心に余裕がない

急いで運転している場合、例えば「何時何分までに目的地に着かなければならない」「仕事に間に合わない」など、急いでいる状況では、普段は温厚な人でも前の車が遅いともどかしさ苛立ちを感じることがあると思います。

それでも我慢するのが良識ある大人の正しい振る舞い方なのですが、中には気の短い人がいて、先を急ぐあまり車間距離を詰めたりクラクションを鳴らしたり、短絡的な行動をとってしまうこともあります。
これが知らず知らずのうちにあおり運転となってしまうのです。

このように時間に追われて心に余裕がないときは、やり場のない気持ちを他のドライバーにぶつけてしまいます。

常習者ではなくとも突発的にあおり運転をしてしまう人たちは、この心理状態にあるといえるのではないでしょうか。

2. 日常のストレス解消のため

日々の生活において抱えているストレスが溜まってきている場合、そのストレスを他のことにぶつけて解消しようとする「自己防衛本能」がある人たちはロードレイジに及ぶ傾向があります。

そのようなことをする人たちは、あおり行為自体を楽しんでいる人たちです

「あおり運転をされた人の反応を見るのが楽しいんだ」

世の中にはそんなゆがんだ考えを持つ人も現実に存在しています。

ストレスを発散するために、お遊び感覚で常習的にあおり運転を繰り返してしまうのです。 

欲求不満が高まり興奮すると、他の人たちよりも怒りが生じやすく、他人に対して攻撃的になりやすいタイプの人たちがいて、こういった人たちは他人からの敵意を敏感に感じ取ってしまうタイプと言われています。

あおり運転をやってもすぐには警察に捕まったり、誰かからとがめられたり、止められたりすることはほとんどないため、あおることは習慣化しやすく、また逃げようと思えばすぐに逃げられるし、事故にならなければ警察に通報されないと思い込んでいるため、そこまで深く考えずに気軽にあおり運転をしている場合もあるでしょう。

ただし、実際にはドライブレコーダーに記録されたナンバープレートなどから個人を特定することが可能で、たとえ事故を起こさなくてもれっきとした違反行為になり、高い確率で検挙されることになります。

3. 『なめられたくない』という報復目的の心理

あおり運転の原因で非常に多いのが、『追い越されたから』とか『車線変更で自分の前に急に割り込まれたから』とか『クラクションを鳴らされたから』という報復心理による行動です。

いわゆる『やられたからやり返してやる』という心理状態に陥ってしまうわけです。  悪質なケースだと運転中にあおるだけではなく、車両を停止させて車から引きずり降ろし、直接暴行を加えるといった事件も珍しくありません。

そのような人たちに共通しているのが『なめられてたまるか』という認識です。他人に見下されたと感じるため、報復目的であおり運転のような危険な迷惑行為をしてしまうのです。

4. 優越感を誇示したいという心理

服装によって自分の気持ちや立ち居振る舞いが変わるように、運転する車によってドライバーの気持ちや運転の仕方が変わる場合があります。

大型高級車あるいはスピードの出る車に乗っているような場合には自然に 車のサイズ、パワー、価格などが周囲のドライバーに対する優越感をもたらしてくれることになります。 

そうなると自分の方が立場が上なんだと勘違いして、自分の能力を誇示したいという心理が強く働き、あおり運転などの危険な行為をしてしまうのではないかと考えられるのです。

運転が楽しめて、大きな満足感の得られる車を所有し運転することで生活の質が向上するのであれば歓迎すべきことなのですが、中にはそういった優越感から他人を下に見て自己中心的な運転を行ってしまう人たちが比較的多くいることは残念なことです。

あおられた時に絶対にやってはいけない行動

あおられた時に決してやってはいけない対処法をご紹介します。

これらを行なってしまうと逆に自分が罪に問われる恐れもありますので、十分にご注意ください。

あおり返すこと

あおり運転に対して、あおり返すのは絶対にやってはいけない行動です。

あおり返しの行為が相手や他の通行車両のドライブレコーダーに記録されていた場合、自分が通報されたときに「相手が先に行ったから」という言い訳は通用しませんし、また相手が逆上して更なるトラブルを生じかねません。

あおり運転に対してあおり返すのは非常に危険な行為ですので絶対に避けてください。

クラクションを鳴らすこと

あおり運転者に前方に回り込まれて急停止されたり、強引な幅寄せをされた場合、回避のための運転操作を誤るととんでもない大事故に会う可能性があります。

そんなとき相手に腹が立って思わず抗議の意味を込めて思い切り強くクラクションを鳴らし続ける人は珍しくありませんが、実は、たとえあおり運転への抗議だとしても道路交通法で定められている場面以外でクラクションを鳴らす行為は違反行為とされているのです。

違反すると罰金刑が科されますので、納得がいかないとは思いますが、絶対に正当な場面以外で理由なくクラクションは鳴らさないでください。

※クラクションを鳴らしてもよい正当な場面とは

左右の見通しのきかない交差点、見通しのきかない道路の曲がり角、または見通しのきかない上り坂の頂上を通行しようとするときなどだけです。

これ以外の無用なクラクションはトラブルのもとになります。

注意喚起やお礼の意味でのクラクションもやめておいた方が無難です

急停止すること (急ブレーキをかけること)

通常では停止した車両に後ろから追突する事故を起こした場合、後ろから衝突した車両に全責任が問われますが、あおり運転ではあおられた車両が危険を回避するなどの正当な理由がないのに急停止をして事故が起きた場合には、急停止した側にも責任が問われる可能性があります。

この場合も『あおられたから仕返しに急ブレーキを踏んでやった』などという言い分は通用しません。

至近距離からハイビームで照らされ続ける、後ろに密着され続けるなど、あおりの影響で安全な運転を続けるのが困難な状況にある場合もあるでしょう。

しかし、安易に仕返しのために急停止などしてしまうとそのブレーキが原因で事故が起きれば自分も事故の責任を問われますし、刑事罰が科される可能性も否定できないのです。

また相手だけではなく自分の身も危険にさらしてしまいます。

このような対応はリスクが高く何のメリットもないので絶対に避けるようにしましょう。 急ブレーキ・急停止は絶対にやってはいけません。

それではどうすればいいのかというと、このような場合には徐々に減速してから停止をして、相手をやり過ごすようにしてみましょう。

それでは今度はあおられた側のドライバーの立場に立って考えてみましょう。

自分はあくまであおり運転の被害者であって、本当に自分には何の落ち度もないと言い切れるでしょうか?

なぜあおられたのか?自分ではよくわからないその原因を探ってみる

あおり運転を受けたドライバーは、理由もなく急にあおられたという印象を持つことが多いと思います。
完全に自分のほうが被害者であり、自分には何の落ち度もないはずと感じているかもしれません。

しかし、気づいていないだけで実際には相手があおりたくなる何らかの行為を行っていたであろうことがほとんどなのです。

例えば、追い越し車線をノロノロと走っていたり、車線変更の時にちょっと危ない割り込みをしてしまったり、必要のないクラクションを鳴らしてしまったりなどという行為に自分で気がついていない場合が多いのです。

あなたは運転中、自分でも気が付かないうちに次のような行為をしていたことはありませんか?

これらは他の車両の運転者から見ると、怒りの誘発要因となる行為になるかも知れないのです。

◎後続車両の位置を確認せずに、自分勝手で急な車線変更割り込みをしたことはありませんか?

◎交差点で信号待ちをしていたときに、青信号になってもなかなかスタートしない前の車に対して、または、のろのろと走っている前方の車に対して
「早く行け !」という意味を込めて、不用意にクラクションを鳴らしてしまったことはありませんか? 

クラクションは道路交通法で正当な場面以外では鳴らしてはいけないことになっていますので、身に覚えがないのにクラクションを鳴らされた側にとっては怒りの誘発要因となってしまいます。

◎追い越し禁止の道路で、必要以上に低速で走行してしまったことはありませんか? 

これは他の車両から見るとのろのろ運転に感じられ、イライラして怒りの誘発要因となるのです。

◎逆に、追い越し禁止の道で前の車両の走行スピードが遅いからといって、イライラして必要以上に車間距離をつめて走行してしまったことはありませんか?

また我慢しきれずに強引に追い抜いてしまったことはありませんか? 

これは追い抜かれた側の車両から見ると法定速度を守って走っているので何も問題がないと思われるのに、追い抜かれたということで怒りの誘発要因となってしまうのです。

あおり運転に発展する可能性が極めて高いケースといえます。

◎気がつかずにライトをハイビームにして走行していませんか?

これも前を走る車にとっては大変な迷惑です。
怒りの誘発要因になって急停止などの危険運転に発展する可能性があります。

◎あなたの運転が下手くそで必要以上にブレーキを踏んだりしていませんか?  

これも後続車両から見ると不安感極まりない状態に置かれますので、やりすぎると怒りの誘発要因になってしまいます。

 

◎あなたが高速道路を走行中、前の車を追い越すため走行車線から追い越し車線に出て、追い抜いた後もそのままずっと追い越し車線を走行し続けたことはありませんか?

これも道路交通法では、高速道路で追い抜きが完了した後も追い越し車線をそのまま走り続けることは「通行帯違反」という立派な交通違反になります。

追い越し車線を走行できるのは、追い抜くという一瞬の行為のためだけです。
ですから、本来は追い抜くわずか十数秒の時間だけしか、追い越し車線を走行してはいけないのです。
追い越し車線が空いているからといって、そのまま走行し続けることはできないのです。
速やかに左側の走行車線に戻って走行しなければなりません。
ここを誤解なさっている方が非常に多いようです。

あなたの車がずっと追い越し車線にいると、追い越し車線を走ってきた後続車両にとっては大変な迷惑になり、怒りの誘発要因になりかねません。

高速道路などであおり運転が始まってしまうと大変悲惨な大事故につながる可能性があります。

ですから追い越し車線をそのまま走行することは絶対にやめてください。

あおり運転にあった場合の最強対策法

事前準備

運転中にあおられないように事前にできるだけ準備しておきたいものです。

ドライブレコーダーの設置


あおり運転の厳罰化が進んでいる影響で、通報されるリスクが高まるドライブレコーダーはあおり運転者に対して大きな抑止力となります。

相手からも目視できるドライブレコーダーを車の前後に設置しておけば、その車両をあおる運転者はかなり減るのではないかと考えられます。

警察ではドライブレコーダーをあおり運転摘発の証拠として採用し始めており、有効な装備として位置づけられています。

実際にドライブレコーダーの売れ行きは急激に伸びています。

ステッカーの設置

あおり運転防止用ステッカーを貼っておくのもあおり運転の対策の一つです。

『ドライブレコーダー録画中』といった直接的に抑止効果が期待できるステッカーを後部ガラスなどに貼っておけば最も効果が期待できます。

あおり運転防止グッズ

実際にあおり運転された場合の対処法

とにかく落ち着くことです。
あおり運転をされた時の最善の対処法は完全無視または安全な場所への一時避難行為です。

あおり運転をする者には気性が荒い人が多く、仕返し( あおり返し) や怒りの対話をしようとすればさらなる暴力事件としてトラブルに発展する可能性があり、危険です。

万が一、車を停止した際に、あおり運転をしてきた相手が車から降りて迫ってきた場合には、決してドアや窓を開けて会話しようとせず、必ずロックしてすぐに警察に通報しましょう。

また、一時避難の場所としては、高速道路であれば人や車が多くいる場所であるサービスエリアやパーキングエリアの駐車場に入り、車を降りずに待機してください。
そして相手の様子をよく観察しましょう。

あおり運転をした人も、人目を気にして我に返ることがあるもしれません。

もしも車を降りてきて何らかの暴力的な行為に及んだ場合には、ためらわず警察に電話しましょう。

一般道であれば、同じく人や車が多くいる場所である大型ショッピングセンタースーパーマーケットなどの駐車場に入り、様子を見ましょう。

緊急避難先としてガソリンスタンドなどに逃げ込んでも構わないと思います。

とりあえず今のところ考えうる最も有効な対策の一つとして、このような対処法を取ることをお勧めいたします。

警察への通報には必ず証拠が必要になります。

ドライブレコーダーに録画してある証拠の映像であおり運転をされた事実を証明できる状況であれば、警察に通報し証拠映像を提供することで相手に何らかの罰則を与えてもらえる可能性があります。

あおり運転の罰則強化

先に述べたように2017年6月に起きた「東名高速夫婦死亡事故」をきっかけに、警察ではあおり運転の罰則強化を打ち出しています。

・あおり運転一発免停

たとえ事故が起きていなくても、あおり運転をした運転者に暴力や脅迫などの悪質な行動が見受けられた場合には、最長180日間の免許停止の罰則が科される可能性があります。

・車間距離保持義務違反 (道路交通法)

あおり運転をした際に最も適用される可能性が高い違反行為です。

懲役刑のある刑事罰

あおり運転自体に対する罰則は「道路交通法」には設けられていません。
あおり運転をした者が必ず逮捕されるわけではありません。

しかし、危険なあおり運転をした者は下記の懲役刑のある罪に該当する可能性が高く、状況に応じた罰則が与えられます。

・過失運転致死傷罪 

自動車の運転中に必要な注意を怠った結果、他人を死傷させた場合に成立する犯罪です。

極端な幅寄せや急停止といった悪質なあおり行為などに適用されます。

・危険運転致死傷罪

他の車両の走行を妨害するなど、最大級の危険な状態で車を運転し、死傷事故を起こした場合に適用される犯罪です。

相手を死亡させたりした場合には最大20年以下の懲役刑に処されます。

・暴行罪ならびに傷害罪

あおり運転をしたあげく、被害者の車を停止させて、車から無理に引きずり出そうとしたり、殴りかかってきたりした場合など、直接的に危害を加えてきた場合に成立する犯罪です。

あおり運転をした者が必ず逮捕されるわけではありませんが、より悪質な場合は懲役刑のある罪に該当し、逮捕につながる可能性は十分にあるといえるでしょう。

最後に

これまであおり運転をする者の心理状態を探求してきましたが、あおり運転の多くは加害者側の感情のコントロールの未熟さが主な原因と考えられています。

しかし、被害者側にも知らず知らずのうちにあおり運転者を刺激する何らかの原因があったのではないかという結論に達しました。

例えば不用意なクラクションや急な車線変更などです。

ですから被害者側つまり私たちのほうもより意識して、あおられる原因を作り出さないこともまた大切なことなのではないでしょうか。

なお、私はこのブログ上でシニア (高齢者) 向けに、注意喚起をする記事をたくさん書いていますが、今回このあおり運転問題を取り上げた理由は、実は高齢者はあおり運転の被害者だけではなく、加害者にもなりうる可能性があることについて注意喚起をしたかったからです。

どんな人間があおり運転をする傾向にあるのか探求したところ、最近増えてきている「暴走老人」の心理に近いものを感じたからです。

※「暴走老人」についてはこのブログ上で別の記事で取り上げています。
[何故すぐキレる「暴走老人」が増殖するのか?その理由が分かった!!]

あおり運転は状況によっては罰せられ、違反内容によっては逮捕される可能性がある危険行為です。
万が一あおり運転とかかかわってしまい、自分だけでは対処が難しい場合にはすぐに警察へ通報をされることを強くお勧め致します。

「あおり運転罪」新設で厳罰化決定! あおり運転者の心理と対処法を探る

終わり

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